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「知覚力を磨く 書評」10年後の常識を今学ぶ魅力「本レビュー」

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良書に出会えたので紹介させてください。

 

今回ご紹介するのは"知覚力を磨く~絵画を観察するように世界を見る技法"です。作者は神田 房江さんです。

 

「知覚」という単語、あなたは聞き馴染みがありますか?

 

私はありませんでした。

 

ですが、この本を読んだら、あなたは知覚の虜になるでしょう。

 

この本の最大の魅力は、アート思考で物事をとらえ、判断する力を身に付けることができる点です。

 

具体的なメリット。実践的な知覚力の身に付け方。これがたった一冊の本で理解できます。

 

そして、この「知覚」という概念や判断手法は未来の常識になる考え方です。

 

世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか。でも、紹介されていますが、もはや「ロジカルシンキング」による判断はうま味が少ないです。

 

そんな中、他者と差別化し、新しい発想や創造、判断をするために必要になるのが知覚力です。

 

「知覚力とはなにか」
「なぜ、知覚力が必要なのか」
「知覚力によって、どんなうま味があるのか」
「どうやったら、先進的な能力である知覚力を鍛えられるのか」

 

そんなことが、わかる本になっています。

 

今回は、気合十分で書いているので、お時間のある時にお読みください。さて、あなたはこのエントリーを読み切れるでしょうか。挑戦の時間です。

 

 ロジカルシンキングの限界

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まずは、ロジカルシンキングの限界です。

 

ロジカルシンキングによる判断は、定量的で誰にでもわかりやすい。という魅力があります。

 

ですが、それが逆にデメリットになっているのが現代です。

 

なぜなら、ロジカルシンキングという手法を使えば、誰でも同じ回答ができるからです。

 

誰にでもできることは、確実に淘汰されていきます。

 

・AI
・ビックデータ
人工知能

 

技術の進歩が、これらを人の代わりにやってくれるからです。

 

もちろん、ロジカルシンキングは重要です。しかし、複雑な計算を誰もが電卓で行うように、ロジカルシンキングも近いうちにルーティンワークになります。

 

その証明に、ロジカルシンキングの代表ともいえる、マッキンゼーコンサルタントの最大手)さえ、アートの学習を進めています

 

つまり、ロジカルシンキングはもはや強みでは無く、言葉や数学のような、差別化につながらない基本的な知識となっています。

 

今や、エクセルの表計算が出来ても「すごいね」と言われないのと同じです。

 

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知覚力はマネジメントの父も重視していた

マネジメントの父といえば、ピーター・ドラッガーです。その彼も、知覚力について触れています。

 

良くある問いかけ。半分の水が入ったコップに対して、どちらの知覚をするか。で世界の見え方が変わることを教えてくれます。

 

・コップに半分水が入っている⇒半分しか水を入れられない
・コップに半分隙間がある⇒半分水を入れる余地がある

 

この知覚によって、あなたの選択肢は変わります。

知覚力を磨く5つの魅力【初手は知覚】

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ロジカルシンキングの限界。と言われても、なになら差別化できるのか?」

 

そう思うと思います。

 

その対処法は知覚力を磨くことです。理由はこちら。

 

・学び方そのものが変わる
・優秀な結果を出す人はアートを勉強している
・気づく力が13%増える
・バイアスに囚われなくなる
・誰もが気づいていない真実に気付ける

 

学び方そのものが変わる【世界の見え方が90%変わる】

情報のインプットする時のフローを意識していますか?

 

「情報なんて、勝手に入ってくる」

 

そう思うかもしれませんが、実際は違います。例えば、視覚情報のうち、90%は脳みそが再構築しているようです。

 

つまり、ありのまま入ってくる情報は10%です。

 

にわかに信じられないと思いますが、脳科学的には90%は再構築している情報のようです。

 

真っ白な雪の中にいる、白い犬が白く見えるのも、視覚情報を再構築しているから。だそうです。

 

つまり、人は、インプットの時に「知覚⇒認識」というフローで認識しています。

 

そのため、知覚が変われば、認識(インプット)が変わります。つまり、学び自体に大きな差が生まれます。

 

視覚情報だけで言えば、知覚力が変われば世界の見え方が90%変わる。とも言えます。

優秀な結果を出す人はアートを勉強している

統計的に(相関関係ですが)、優秀な人はアートを勉強している。ともいえるようです。

 

具体的には、科学者の中でノーベル賞を取っている人は、アートを趣味にしている割合が非常に高いです。※数値はおおよそで見てください。

 

・米国市民:30%
・米国科学アカデミー:55%
・王立協会:60%
ノーベル賞受賞者:90%

 

注意して欲しいのは、あくまで相関関係のため、因果関係とは言い切れません。

 

※能力の高い人は収入も多く、余暇も取りやすいので、趣味が多い。その趣味の一部がアートだった。などの可能性もあります。

 

しかし、ここまで差があると、アートの学習には効果があるようにも思えませんか?

気づく力が13%増える

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次は、因果関係にも思えるデータです。※因果関係:Aが起こったため、Bが起こる。

 

ある医学生に2時間半のセッション(絵画の鑑賞)をさせます。対象群として、絵画の鑑賞をしていないグループ。も用意します。

 

【結果】
・絵画を鑑賞していないグループと比較して、74%患者の症状を発見した
・絵画を鑑賞する前と比較して、13%症状を見極めた

 

もちろん、絵画鑑賞によるリラックス効果によって、パフォーマンスが高まった可能性はあります。

 

しかし、この後ご紹介する点も踏まえると、絵画鑑賞(アートを学ぶ)には、気付く力を増やす効果が期待できそうです。

バイアスに囚われなくなる

バイアスとは、人が普段の生活の中で自然に獲得する「思い込み」のことです。※思考の偏りとも言います。

 

・ルイヴィトンだから、全部品質が良い(不良率は0%はあり得ない)
・やっぱり、Aさんは意地悪だ(確証バイアス)
・みんながパスタなら、私もパスタ(同調バイアス)
・僕は、バイアスに囚われない人だ(バイアスの盲点)

これらがバイアスです。

 

ちなみに、以前ご紹介した、ダニング・クルーガー効果。もバイアスの一種です。

 

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こんなバイアスを排除する助けになるのも、知覚力です。

 

知覚力は、ゼロベースで俯瞰・カテゴライズし、本質を見極める力だからです。

誰もが気づいていない真実に気付ける

5つ目は、誰もが気づけない点に気づけることです。

 

知覚力は、普通の人が見えていない景色(情報)を手にする方法の一つです。

 

知覚力を磨くことは、人と違う発想をし、みんなが出来ないと思う判断を下す力を手に入れることにつながります。

 

今、世界に存在しないものを作るためには、知覚力は確実に必要なスキルです。

知覚力を着実に身に付ける4つの方法

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知覚力の磨き方では、知覚力を身に付けるための方法として、4つの方法を紹介しています。

 

4つの方法を全て実践することをおすすめします。しかし「とにかく一番効率が良いのは何?」と思う人は、4つ目の方法だけ読んでください。

1.知識を増やす

・脳内に蓄積された情報量=知覚の幅
・今の知識から、距離のある知識を得る

 

まずは知識量を増やすことです。「RANGE」でも書かれていますが、クリエイティブな能力には、知識の幅が必要です。

 

つまり、知識の量(深さ)も大切ですが、幅にも気をつけましょう。

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2.他人の知覚を近くにする

・付き合う人のレンジを広げる
・本を読む

 

知覚とは、指紋のように人それぞれ異なります。つまり、様々な人との交流で、知覚を広げることができます。

 

もちろん、人の幅についても、遠いほど知覚に対しては有利に働きます。

 

「人と話すのは苦手」

 

そんな人は、読書がおすすめです。※ブログでも良いと思います。

 

作者は、作者の目線で物語を書いたり、意見を述べています。

 

人の考えた文章を読むことによって、効率良く他人の近くを共有することができます。 

3.知覚の根拠を問う

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クリティカルシンキングを身に付ける
・なぜ、と自分に疑問を呈する

 

あなたは、意識のある時間、絶えず知覚しています

 

せっかく、自動的に知覚をしているなら、その知覚を磨いてみましょう。

 

やり方はシンプル。

「なぜ、今自分はこう考えたんだろう」
「なぜ、今怒りの感情が湧いたのか」
「なんで美しいと思ったのか」

など、自分の感じたことを、分析します。これによって、自分が近くをした根拠が見つかります。

 

それを理解して、分析すること。さらに、知覚した根拠を「違った方向で考えること」でさらに、知覚が広がります。

 

たとえば、キレイな景色を見たとします。当然、「きれいだな」と感じます。これを分析すると、こうなります。

 

「木々がシンメトリーになっているから、キレイだと思った」

 

では、他の知覚はあるでしょうか?

・色合いのグラデーションがキレイ
・澄み切った青色がキレイ
・景色だけではなく、吹き抜ける風が気持ちい

 

このように、あなた自身があらゆる感覚や感性で、キレイを感じていることがわかると思います。

4.見る方法を変える(最重要)

・視覚として、得る情報を変える

 

さて、この方法が最重要です。なぜなら、知覚力を磨く。では、見る方法を変えることが、重要なテーマの一つだからです。

 

視覚は、人の情報の83%を占めると言われています。

 

パレートの法則を参考に、最も大きなポイントに対して、注力をするのが効率が良いでしょう。

 

つまり、私たちが手にしている最も大きな情報ソースの捉え方が変われば、知覚の質は大きく変化します。

 

見る方法を変えるためには「絵画鑑賞」がおすすめです。理由はこのあと。

 

なぜ、絵画鑑賞で知覚力が鍛えられるのか【3つの理由】

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アートとビジネスの関係性について、論じられることは多いです。では、なんで絵画鑑賞で知覚力が鍛えられるのでしょうか?

 

それには3つの理由があります。

1.バイアスが介在しにくい

まずは、バイアスが排除しやすいからです。

 

知覚力の磨き方をしては「見る能力」を鍛えるのがおすすめです。

 

しかし、見慣れた景色や何らかの感情が乗りやすい媒体では、バイアスが介在します。

 

ですが、絵画であれば素直に見ることが可能で、バイアスを排除しやすいです。

 

もちろん、あなたに関連のあるテーマの絵画や、地元などはバイアスが排除できないので、見る対象から外してください。

2.断片的な情報量のため、整理しやすい

 ほとんどの絵画は「フレーム」で区切られています。つまり、額縁があります。

 

また、一瞬を切り取るのが絵画のため、情報量が限定的です

 

つまり、じっくりと鑑賞し、絵画に書かれている情報を読み取りやすいです。

 

もし、これが本当の景色なら話は別です。

 

・風
・匂い
・流れる雲
・天気

 

など、あらゆる変化が起こり、全てを把握するのは非常に困難です。

 

だからこそ、情報量が固定されている絵画は知覚力を磨く題材として有利です。

3.全体を見る練習ができる

 絵画の魅力、3点目は全体を見る練習ができることです。

 

先ほどもお伝えしたように、絵画は情報量が限定的ですし、動くことはありません。

 

そのため、全体を俯瞰で見たり、集中的に観察したり、といった行動が取りやすいです。

 

結果的に、絵画は全体を見渡すトレーニングに最適です。

知覚力を鍛える絵画鑑賞5つのステップ

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 そんな知覚力トレーニングにおすすめの絵画ですが、もちろん、適切なステップで鑑賞をする必要があります。

 

そのステップは5つです。

 

1.全体を見て、大きく区分けする
2.注視すべきポイントを見分ける
3.その他の部分の詳細を見る
4.全体を一歩下がって俯瞰する
5.解釈を再度見直す

 

1.全体を見て、大きく区分けする

まずは、絵画の全体像を鑑賞しましょう。

 

・絵のテーマや背景(教会なのか、風景なのか)
・中心に何が書かれているか
・その他の構成要素はなにか

 

絵に描かれている風景の全体像をまずは理解し、区分けしましょう。

2.注視すべきポイントを見分ける

続いて、注目すべきポイントを見分けます

 

基本的には中心に書かれていることが、最も注目すべき点です。

 

他には、細かな描写がされていたり、そこだけ光が当たっているようなところが注目すべき点です。

 

作者が、何をテーマに書いているのか、何を伝えたいのか。そんなことを考えながら鑑賞しましょう。

3.その他の部分の詳細を見る

中心となる場所を見た後は、その他の詳細を見ましょう。

 

最初のステップで区分けした部分、それぞれを見ます。

 

・背景の協会はローマかな
・左に書かれている人は、何をしているんだろう
・この空は朝なのか、夕方なのか

 

このように、区分けした部分それぞれを丁寧に見ます

4.全体を一歩下がって俯瞰する

・全体の把握
・テーマの観察
・細部の観察

 

これらが終わったら、再度全体を俯瞰してみましょう。

 

絵は、同じ場所から見るものではありません。

 

・少し近づく
・しっかり近づく
・少し離れる
・かなり離れる

 

など、絵との距離を変えることで、また違った景色が見えます。

 

今回のステップでは、離れることによって、再度全体を見渡すことを心がけましょう

5.解釈を再度見直す

最後に、解釈を見直します。

 

最初に感じた絵の印象に対して、しっかり鑑賞をすることで意味合いや解釈が変わるはずです。

 

もちろん、正解はありません。あなたの中に起こる変化をとらえてください。 

絵画鑑賞と知覚力の発揮には密接な関連性がある

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さて、ここまでお付き合い頂いた人には、こんな疑問が湧いていると思います。

 

「絵画鑑賞方法はわかったけど、それが知覚力とどう関係があるのか」

 

その答えは、問題を見つめる時のステップと、絵画鑑賞のステップが同じ。という事実から説明できます。

 

問題に対処する時、このように考えるはずです。ここでは、具体例として、スマホの故障とします。

 

スマホが壊れた時】

ステップ1:スマホ全体を見て、問題を確認する
ステップ2:故障してそうな場所を観察する
ステップ3:その他の部分の以上を確認する
ステップ4:もう一度、全体をみて問題を確認する
ステップ5:改めて故障の原因を判断する

 

【絵画鑑賞】

1.全体を見て、大きく区分けする
2.注視すべきポイントを見分ける
3.その他の部分の詳細を見る
4.全体を一歩下がって俯瞰する
5.解釈を再度見直す

 

 

スマホの電源が入らない時、このようなステップを取ると思います。問題を解決するための知覚でも、このステップ(絵画鑑賞と同じ)は有効な手法です。

 

もし、現在抱えている問題や困っていることがあれば、このステップで考えてみてください。

 

今までと違う解決策が浮かぶかもしれません。

 

絵画を学ぶなら、美術館がベスト

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絵画を知るなら、まずは美術館がおすすめです。

 

有名な絵だけを見る必要は無いので、町の美術館で問題ありません。

 

絵画を見ながら、今回ご紹介したステップでじっくり鑑賞してみましょう。10分程度鑑賞すれば、充分だと思います。

 

もちろん、知覚力を鍛えることができますし、絵画自体も、より楽しく見ることができます。

 

美術に親しみを持つ方法

 「いきなり、美術館に行くほどのモチベーションが無い」

 

そんな人は、美術をテーマにした小説を読んでみてはいかがでしょうか。モチベーション向上や、アートへの拒否感が減ります。

 

最近私が読んだ、美術に関する小説では、こちらの2作がおすすめです。

 

 

 

 

もしくは、自宅にアートを飾ることもおすすめです。

 

・好きな時に見れる
・インテリアになる
・創造性が高まる(可能性)
・メンタルに良い効果(可能性)

 

などなど、自宅にアートがある事には大きなメリットがあります。私も、2つほど、自宅に飾っています。

 

シンプルな絵画やアートでは、知覚力のトレーニングには向きませんので、このような物がおすすめです。

 

もしくは、雑貨屋さんなどで、気に入る絵があれば是非購入してください。

知覚力を磨くという本の魅力

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ここまで、ご紹介したような知識を得られること以外の、知覚力を磨くという本の魅力をご紹介します。

 

・絵画が印刷されているので、読みながらトレーニングできる
・統計的な情報を見ながら勉強ができる
・知覚力と、ビジネススキルの関連性が理解できる
・実践的な、知覚力のトレーニングができる

 

情報量や情報の質だけでなく、実際の絵画を見ながらトレーニングができます。

 

そのための方法や、フィードバックもできるように書かれているので、この本一冊あれば知覚力入門は終了です。

 

美術館に行ったり、自宅にアートを飾ることもおすすめです。しかし、まずは、この本で入門を済ませておけば、その後のトレーニング効率が良くなります。

「知覚力を磨く 書評」10年後の常識を今学ぶ魅力「まとめ」

ここまでお付き合いいただき、ありがとうございます。

 

知覚力を鍛えるのは、一朝一夕では難しいです。

 

しかし、知覚力は将来確実に必要になるスキルです。

 

ロジカルシンキングの限界
・アート思考の重要性

 

などについて語られている本は多いですが、その関連性を具体的に示し、実践的なトレーニングができる本はまれです。

 

もし、自分の考え方や学習方法について不安があったり、今後のビジネスで成果を出したいと思うなら、確実に読んで損しない本だと思います。

 

ぜひ、一緒に知覚力を磨きましょう。 

 

www.yoblog.org

 

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