今回は、「地頭力を鍛える」の書評です。
最初に結論。「地頭力を鍛えるための、考え方のクセを身に付けられる本」です。
「あの人、頭いいよね。」
かつて、学生の時に言われた頭の良さは「学業成績の良さ」でした。
しかし、社会に出てからは学歴以外の頭の良さが大切なことに、否が応でも気づきますよね?
そういった頭の良さを、人は地頭と呼びます。
そんな地頭の良さには3つの種類があります。そして、それぞれ鍛え方があります。
そんな、地頭の鍛え方を、フェルミ推定という方法を使いながら鍛えることの出来る本。それが、地頭を鍛える。です。
※フェルミ推定については、後ほど。
【こんな人におすすめ】
・社会に出てから能力を発揮できていない気がする
・問題解決能力を高めたい
・普遍的な脳みその使い方を知りたい
- 地頭を鍛える。3つの魅力。
- 地頭には3つの種類がある
- なぜ、フェルミ推定が地頭力のトレーニングになるのか
- フェルミ推定を学ぶべき6つの思考パターンの人
- 「地頭力を鍛える 書評」頭が良くなるフェルミ推定の話「まとめ」
地頭を鍛える。3つの魅力。
まずは、この本の魅力を3つご紹介します。
【この本の魅力】
1.地頭の根幹の考え方のフェルミ推定を学べる
2.問題解決の方法が頭にしみ込む
3.各章にまとめがあって読み返しやすい
本として、読みやすく、地頭を鍛えるのに効率の良い「フェルミ推定にフォーカス」しているので、一冊で地頭を鍛えることができます。
また、各章にまとめがあったり、一部ストーリーがあったりして、記憶の定着にも配慮されています。
地頭には3つの種類がある
ここからは、地頭を鍛えるの内容紹介です。
そもそも、地頭と呼ばれている物には3つの種類があります。
①知識
②人間関係力
③問題解決力
この中で、地頭と鍛える。で鍛えることが出来のは「③問題解決力」です。それは、現代で、最も大切な脳力が問題解決力だから。です。
人間関係力も当然大切です。詳しく知りたい人は、こちらのエントリーから。
なんで、問題解決力が大切なのか?
これまでのエリートは「知識(学歴)と社会での人間関係力」が大切でした。
それは、大手企業に勤めて出世するのが、成功のモデルケースだったからです。
また、製造業(モノづくり)には、トップダウンの課題をいかに解決するか。が大切でした。
品質の改善や生産にかかる時間の短縮などがその例です。
しかし、これからは
・個人で活躍できる
・問題が複雑であいまい(VUCAと呼ばれている)
・自分の力で問題を探す
などの能力が求められています。それが、問題解決力です。※問題を定義して、解決する力。
フェルミ推定とはなにか
では、地頭力を鍛えるでメインテーマとなっている、フェルミ推定とは何でしょうか?
フェルミ推定とは、物理学者のフェルミさんが多用していた推定方法です。
ごくわずかな情報をベースに、精度の高い推定をする手法。それがフェルミ推定です。
良くある事例としては、シカゴにいるピアノ調律師の数は何人か?
という問題です。当然、全く想像が出来ないですよね?
でも、フェルミ推定ならある程度の精度でその数字が予測できます。
そして、最大のポイントはフェルミ推定を使いこなせる=問題解決力が身に付いている。ということです。
日本にいるピアノの調律師は何人?
シカゴで考えると、良くわからないと思うので、ここで日本にいるピアノ調律師の数を想定してみましょう。
条件はこちら
・電卓を使わず、手計算のみ可
・制限時間は3分
・なにも検索してはいけない
はい。考えてみてください。大切なのは「なんとしてでも、答えを出すこと。」です。
【回答】・・・あくまで回答の一つなので、他の正解もあります。
・日本の人口:1億2千万人
・一世帯当たりの人数:3人
・ピアノを持っている割合:1/10世帯
・ピアノの調律:年に一回
・調律師が一日で調律する代数:4台
・調律師が働く日:250日
【計算】
・1億2千万÷3人=4,000万世帯
・4,000万世帯÷10=400万ピアノ
・250×4台=1,000台/年(一人が一年間で調律するピアノの数)
400万ピアノ÷1,000=4,000人
ちなみに、日本ピアノ調律師協会のデータによると、8,000人~10,000人ほど調律師の人はいるらしいです。
ピアノの保有数が想定より多い(30人に1人より多い)。もしくは、調律師の調律できる代数が、4台以下。なのかもしれません。※副業でやっている人がいる可能性もあり。
とはいえ、問題を見た時は「全く想像できない」と思ったことでも、概算のあたり付けにはなるのではないでしょうか?
他にも、市場規模(調律費用から、算出してみる)やピアノ工場の生産規模から想定。など、方法は自由です。
そして、あくまで確固たる正解が無いのが、フェルミ推定の特徴ともいえます。
なぜ、フェルミ推定が地頭力のトレーニングになるのか
そんなフェルミ推定ですが、その思考フローにこそ、魅力があります。
フェルミ推定をする場合、こちらの3つが必要になります。
①少ない情報から仮説を立てる力(世帯数ごとのピアノの数など)
②前提条件を自分で設定し、先に進む力(とにかく計算する)
③時間を決めてとにかく結論を出す力
これが大切です。
よく「これやったこと無いからわからない。」そう言う人がいますが、これは地頭力の鍛え方が足りない。とも言えます。
フェルミ推定をする時に、必然的に必要になる3つの力。
これこそが、地頭の構成要素です。
フェルミ推定を学ぶべき6つの思考パターンの人
最後に、フェルミ推定を学ぶとメリットのある、6つの思考パターンの人をご紹介します。
「この考え方、自分に当てはまるな。」と思ったら、地頭のを鍛える。を読む価値アリです。
ちなみに、全てのタイプに長所と欠点があります。フェルミ推定は、その短所を打ち消すことができます。
1.検索エンジン好き
まずは、検索エンジン好きな人。検索をすることで、簡単に情報が手に入るようになりました。
しかし、その結果「考える力」を失っている場合があります。
【具体例】
・頭で考えるより検索している
・検索結果を鵜呑みにして、そのまま答えにしている
2.完璧主義
必ずしも悪い考え方ではありません。経理や品質部門には必要な考え方です。
しかし、時と場合によっては、この長所が短所になります。
【具体例】
・品質を維持するため、締めきりを遅らせる
・情報が不足していると判断できない
・ざっくり。という概念はNG
3.情報コレクター
私はこのタイプの傾向だと思いますが、何をするにも「まずは情報収集」と思うタイプです。
【具体例】
・常に仮説よりも情報を集める
・情報が多すぎて、正解がわからなくなる
・行動より先に情報を集めたくなる
4.猪突猛進
推進力はあるが、人から理解されなかったり、周りから「あいつの考えはわからない」と言われるタイプ。
【具体例】
・思い込みで暴走し、周りから止められる
・他人に対する説明が一人よがり
5.セクショナリズム
自分に関するところは完璧を求めるが、他のことは関与しない。個別最適タイプ。
【具体例】
・全体のアウトプットより、自分の仕事を完璧にすることを考える
・必要以上に、自分の領域を仕上げる
6.経験市場主義
自分の経験を優先する傾向と、「他の業種や人からは学べない。なぜなら自分のやっていることは特殊だから」と思うタイプ。
【具体例】
・自分の経験だけをよりどころにする
・自分は特殊な環境にいると思っている
これらに該当するタイプは、フェルミ推定を学んでいくことで、思い込みを排除する必要があります。
事象の一般化・抽象化のテクニックを学ぶことで、汎用性のある問題解決力が身に付きます。
「地頭力を鍛える 書評」頭が良くなるフェルミ推定の話「まとめ」
今回は、地頭の力を鍛える。の書評でした。
それ以外にもご紹介したいことはたくさん本ですが、あえてポイントを絞ってご紹介しました。
頭が良い人の思考方法として、問題解決が仕事のコンサル業や、マイクロソフトの入社試験にもなった、フェルミ推定。
多くの物事は「テクニックによって得られるアウトプット」が大切です。しかし、フェルミ推定は「その過程」が重要な珍しいテクニック。
一度身に付ければ、あらゆる問題解決に使えるので、知って損することの無いテクニックだと思います。
ちなみに、入門編としてこんな本もあります。
・新入社員
・問題解決の手法を広く知りたい
そんな人におすすめの、網羅性のある本です。
「問題解決に方法論なんてあるの?」と思う人は、この本から読むのがおすすめです。