今日はクリティカルシンキングと嘘を見抜く方法について整理します。
クリティカルシンキングとは批判的思考。と訳されることが多いですが、実際には多角的な視点で物事を分析したり、考えることです。
そのため、クリティカルシンキングはやみくもに批判的に見る・考える。ということではありません。
情報を吟味して、正しく解釈することがクリティカルシンキング。
そんなクリティカルシンキングですが、ここ数年で間違いなく重要なスキルになっていると思います。
それは、ソースがわからない情報や、人の心を扇動する文章が増えてきているからです。
昨今でも、様々なニュースが出ています。そのニュースは時に間違えていたり、恣意的に情報を並べていたりします。
「ついついテレビの情報を信じすぎてしまう。」
「有名人が良いと言っていたから買った。」
「フェイクニュースに騙された。」
「真相を知ってびっくりした。」
そんな経験をしたことが無い人は居ないでしょう。実際、全ての嘘を見破ることは不可能です。
しかし、嘘を嘘と見抜く確率は上げることができます。
そんなクリティカルシンキングと嘘を見抜く方法の話。
クリティカルシンキングの思考法
クリティカルシンキングでは、こんなアプローチをします。
「この情報は真実なのか。」
「どんなエビデンスなんだろう。」
「統計の母数はどのくらいだろうか。」
「発信者はどんな目的でこの情報を提示しているのか。」
ざっくり言ってしまえば、統計情報の見方に近いものがあります。
一度立ち止まって、考えることが、クリティカルシンキング最初の一歩。
とりあえず、嘘を見抜けて損しない
「クリティカルシンキングって本当に必要なのか。」
と思う人もいるかもしれません。
たしかに、いつも情報の正しさを確認して生きていくことは難しいです。
また、時間の制約がある時もあります。
残り1品の商品を頼む時に「本当に安いのか。この商品で良いのか。」と思っているうちに売り切れてしまう時もあります。(もちろん、時間も浪費します。)
ですが、嘘が見抜けて損をすることはありません。
使うか使わないかは別として、嘘を見抜く能力自体は必要です。
誰でも発信できる時代のトレードオフ
このブログもそうですが、今ではスマホ一台あれば誰でも情報発信ができます。
つまり、どんな情報でも世界中に発信をすることができます。
これまでも、メディアによる扇動や、フェイクニュースはありました。
しかし、今ではこれまで以上に間違った情報が増えています。
・テレビ
・新聞
・ラジオ
・雑誌
などは、情報発信元がはっきりしているので「比較的」情報の精度が高い傾向にあります。
しかし、個人の発信ではそのバラつきは大きい。
だからこそ、クリティカルシンキングが必要です。
見抜ける5つの嘘「嘘の見抜き方」
では、クリティカルシンキングを使って、見抜ける嘘はなんでしょうか。
それは「ミスリードを生む嘘。」です。もちろん、全てが嘘。というわけでは無いのですが、曖昧なものを絶対的な真実のように伝えることも、嘘と定義しています。
見抜ける嘘は、嘘に限りなく近い真実。とも言えます。
事例を5つ紹介します。
1.統計の取り方が恣意的な嘘
まずは、統計の取り方が恣意的な嘘です。(そりやー良い結果になるよね。という情報の取り方)
例えば、化粧品の広告で「この商品を使った人の90%が満足しています。」という情報があります。
これには、こんな可能性があります。
「その会社の職員に聞いている。」
「リピート客から統計を取っている。」
こういった人からアンケートを取れば、当然良い結果が出ます。
ランダムに、多くの人の意見を集めていない統計データは信頼できません。
2.考えてみれば当たり前の嘘
なんとなく聞いていると良さそうに見えるが、実際は当たり前の嘘もあります。
例えば「この保険を選んだ人の85%が、料金が安くなった。と回答しています。」
こう聞くと「へー。ここの会社は安いんだな。」と思います。
しかし、実際に保険を乗り換える時は「価格が安いから」が大半の理由です。
・その会社が好き
・なんとなく
・気分転換で
といった理由でわざわざ保険を乗り換える人はいませんよね。
乗り換えをしている人は、保険、スマホ契約、ジムなど、全てにおいて「前の契約より良いと判断した人。」しかいません。
結果、乗り変えた人から取るデータは良い結果になります。
3.個人の感想を真実のように伝える嘘
健康関連商品に多い宣伝文句。
「この商品を使ったら、肌が見違えるようにきれいになった。」
「この食品を食べたら、疲れを感じなくなった。」
これは、商品の効果を伝えているように「見せかけて」個人の感想が書かれています。
例えば、ある化粧品を使っている人、100人から感想を聞いたら、一人くらいは大絶賛の人がいます。
それを、さも多くのユーザーが回答しているように伝える嘘があります。
これも嘘ではありません。(そんなユーザーがいたのは事実)
「この商品には、根拠のある効果がある。」とミスリードさせるのが狙いです。
4.コピーライティングの嘘
コピーライティングについては、何度か触れています。(ブログを書いているとつい気になる。)
・誰とでも親友になれる、たった一つの方法
・1日で100万稼いだ禁断の方法
・投資の神様直伝のテクニカル分析
これらの表現は嘘(誇張)です。
このように言い換えて理解しましょう。
・人と仲良くなれるかもしれない方法の一つ
・この方法で稼いだ人がいる(数人だけ)
・投資をしている人がやっているテクニカル分析
もちろん、その情報を見ていく中で学びがあれば参考にすべきです。
言いたいことは「鵜呑みにしない方が良い。」ということ。
5.偏った意見を集めた嘘
政治的なモノや、人の印象操作に使われやすい方法。
・賛否両論
・炎上
・○○が怒りの声
などが定番でしょうか。
多くのもめごとには、お互い様の部分がある事が多い。
また、どんな意見にも賛成と反対があります。
しかし、こんな状況でも3つの意見だけをそれぞれ並べれば、立派な賛否両論です。
賛成:1万人
反対:3人
取り上げる意見が3つなら、賛否の量が同じくらいに見えます。
見抜けない嘘とは「諦めよう」
これまで5つの嘘の見抜き方についてご紹介しました。
ですが、見抜くことが非常に難しい嘘もあります。
それは「情報そのもので嘘をついている場合」です。
例えば、富士山が世界遺産になったのは2000年。など事実自体を捻じ曲げている場合です。(本当は2013年)
他にも
・第一人者が選ぶ旅行先
・有識者が決めた方針
・極一部の職人しかできない加工法
などは、その人達が本当に優秀かどうか。は判断が出来ません。
これらの嘘を見抜くのは非常に難しいです。
故意に誤った情報が書かれている場合は、判断は難しいです。
もちろん、知識量が増えれば、嘘を嘘を見抜くことは可能です。
しかし「噓を見抜くための努力」としては、効率が悪いでしょう。
結論:適度に騙されつつ生きていくしかない。
結論です。
誰しも人に嘘をつかれたり、騙されたりするのは不快な気持ちになります。
ですが、全ての嘘を見抜くことは出来ません。
私たちが使える時間も労力にも限界があります。
そのため、多少騙されたり、嘘を信じてしまうことは仕方がないと思います。
出来ることは「すぐにわかる嘘を取り除くこと。」です。
そのためには、統計について学んだり、言葉の意味を正しく理解する習慣を作るのが良いでしょう。
クリティカルシンキングを鍛えたいなら、統計と嘘について学ぶのが手っ取り早いと思います。
おすすめ本を2冊ご紹介します。
統計については、こちらがおすすめです。「統計学が最強の学問である」※確かに、統計無くして学問無し。と言えるなあ。と感じます。
統計と嘘については、こちらがおすすめです。「決め方の経済学」※多数決は取り方次第で、大きく結果が変わることがわかります。
寝食を忘れるほど面白い本で、読んだ瞬間から人生観が激変しました。※個人の感想です。