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「決め方の経済学書評」間違いだらけの多数決の悪用対策「本レビュー」

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多数決について、あなたはどのくらい知っていますか?

 

「はいはい、大人数で物事を決める時に使ったやつね。」
「小学生の時から知っているから、今更言われても。」

 

そう思うかもしれません。しかし、多数決の取り方を知らないとこんな事態を招きます。

 

・不人気な候補が選挙で勝つ
・多くの人が絶対嫌だと思うレストランに行く
・多数決が暴力以上の結果を招く

 

嘘みたいな話ですが、本当です。

 

この後、これら3つの原因と対策についてご紹介します。

 

日ごろから馴染みがある多数決ですが、「なじみがある事」と「理解していること」は別

 

スマートフォンになじみの無い人はほぼいません。しかし、スマホのシステムやメール、SNSができるロジックを説明できる人は少ないです。

 

スマホであれば、インターフェイスを使いこなせれば大丈夫です。しかし、多数決については別です。

 

なぜなら、多数決の結果はあなたの人生のあらゆる場面に影響を与えるからです。

 

・選挙
・お店選び
・PTA
自治
・仕事の意志決定

 

あらゆる場面で、多数決を制するものが結果を制しています。多数決を知らないばかりに、一部の人にあなたの選択が影響を受ける可能性があります。

 

そんな多数決について「決め方の経済学」という本のレビューと書評をしながらご紹介します。

 

身近な知識なので、人に話してドヤれるかも?しれません。

ほとんどの人は多数決について知らない

説明しあう男性

日本人のほぼ100%が一度は経験している多数決ですが、ほとんどの人は多数決をちゃんと理解していません。

 

その理由はこちら。

①多数決の方法を一つしか知らない
②多数決の方法による影響を知らない
③意思決定によって起きるインパクトを想像していない

 

私自身、この本を読むまでは多数決に対して無知でした。正しくは「知らないことを知らない」状態でした。

 

良く知っていると思っていることほど、良く知らないものです。そんな体験を、このエントリーでしてもらえれば幸いです。

なぜ、決め方の経済学なのか

まずは、今回レビューする本が「決め方の経済学」なのでしょうか。

 

それは、多数決を経済学的な観点から解説しているからです。経済学と名前は付くものの、経済学になじみが無くても大丈夫です

 

経済学:利益に向けた生産に向けて、資産の配分を考えること。

 

つまり、多数決でも特定の利益(多くの人が満足できるお店選び)のために、資産の配分(お店で消費する時間とお金)の配分を決定します。

 

経済学と名前がついていますが、理論のアプローチ方法が経済学的(合理的)なだけなので、悩む必要はありません。

今回ご紹介する多数決の決め方

決め方の経済学には、いくつかの多数決ルールが紹介されています。

 

ここでは、2つの決め方(多数決の方法)についてご紹介しながら、決め方を決めることの重要性について考察をしていきます。

いわゆる多数決

一つ目は最もシンプルな方法です。

 

いくつかの候補があり、各自がそれぞれ一票を集計し、最も票を集めた候補が選ばれます。

 

学生のころから、何度も繰り返してきた方法だと思います。 

ボルダールール

ボルダールールとは、多数決の決め方の一つです。立案者は「ジャン=シャルル・ド・ボルダ」です。

 

18世紀後半にフランスの海軍科学者だったボルダが考案し、初めて数理的な分析を与えた手法。

 

その方法はシンプルです。

1位:3点
2位:2点
3位:1点

上記のように投票を行うのが、ボルダールールです。

 

通常の多数決との違いは「一位以外に得点をつけられること」です。たったこれだけですが、結果に大きく影響を与えます。

 

通常の多数決では、ありえないと思うような結果になる場合があります。その具体例はこの後ご紹介します。

多数決で最良の結果が得られない理由

ここからは、最初にご紹介した「多数決したのに、なぜか最大多数の幸福」にならない理由をご紹介します

 

具体例があった方がわかりやすいので、2つの間違った多数決の具体例をご紹介します。

 

①多数派(マジョリティ)が少数派の意見をないがしろにできる
②票の割れによって、多くの人が望まない選択肢が選ばれる

 

多数決の間違い【具体例1】

多数決の間違いとしては「少数派がないがしろにされる」ことがあります。

 

決め方の経済学では、タワーマンションのエレベーター改修費用負担の割合が例に挙げられています。

 

1Fの人:自分たちは使わないから、改修費用を負担したくない。

 

その発言に怒った他の住人が、費用は全て1Fが負担。という選択肢を作り、多数決で可決します。

 

多数決の原理で言えば、2F以上の人全てが納得する意見であれば採用されます。ですが、この判断が間違っているのは、誰でもわかると思います。

 

これは、道徳の問題です。

 

つまり、多数決は「マジョリティが一丸となっている場合」、少数派に負担を強いることを、民主的に見える方法で強硬できます。

 

これが、多数決で起こる最初の間違いです。続いては、票の割れの観点から、多くの人が望んでいない選択肢が選ばれる具体例をご紹介します。

多数決の間違い【具体例2】

イントロダクションで挙げた3つの事例。

 

・一番人気で無い人が選挙で勝つ
・ほとんどの人が絶対嫌だと思うレストランに行く
・多数決が暴力以上の結果を招く

 

実は、3つとも、同じ理由で多数決に失敗します。理由はこれだけ。

 

「多数決候補が3つ以上あり、ジャンルの重複がある」

 

イメージしやすいように飲食店選びをテーマにします。例えば、友人と10人で飲食店に行こうとします。

 

そんな時は、自分の意見だけを押し通すのは気が引けるので多数決の出番です。候補はこちら。

 

Aラーメン
B中華料理
Cイタリアン
Dハンバーグ
Eステーキ

 

この5つの候補で被っているのは、「ラーメンと中華」「ハンバーグとステーキ」です。※ジャンルとしては遠からずの前提で。

 

10人で行った多数決の結果はこちら。

Aラーメン:2
B中華料理:2
Cイタリアン:3
Dハンバーグ:2
Eステーキ:1

 

結果的に、Cのイタリアンが多数決で決まります。しかし、良く考えてみるとおかしいところがあります。

 

これらをジャンルでまとめるとこちら。

中華:4票
イタリアン:3票
お肉:3票

 

つまり、一位は中華料理で、イタリアンとお肉料理が同率です。もし、候補が3つだったら、このような結果になっている可能性があります。

B中華料理:4
Cイタリアン:3
Dハンバーグ:3

 

多数決では、候補となるジャンルが重複すると、結果的に最大多数の幸福にならない可能性があります。

 

飲食店選びであれば、この程度で済みます。しかし、自治会の投票や選挙で、このような結果で出る場合のインパクトは計り知れません。

 

多数決の時に、最初に気を付けるべきは「候補対象に同じようなもの(ジャンル)が無いか」です。

多数決を悪用する人の手口

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つまり、この知識があれば多数決を悪用できます。もちろん、このブログを読んでいる人は「悪用に気づき、対応する方法」として活用してください。

 

自治会の投票で代表になりたくない場合は「自分に似た候補を挙げる」
・ビジネスの意志決定では、自分のアイデア以外は類似の選択肢を増やす

 

お気づきの人もいると思いますが、この前提は「投票が1つにしかできない場合」に発生します。※通常の多数決で起こる問題。

 

逆に言えば、悪用を防ぐ方法は2つあります。

①候補の重複を避ける
投票権を2つ以上にする

 

②の具体的な方法については、この後ご紹介します

どんな多数決の方法を選べば良いのか

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ここからは「多数決で失敗しない方法」「多数決を悪用されない方法」をご紹介します。

 

つまり、多数決のやり方です。決め方の経済学ではいくつかの方法が紹介されていますが、おそらくベストは「ボルダールール」です

 

正しくは、ベストというよりは、最もベストに近い多数決の方法です。

 

多数決で票が割れる時点で、どの選択肢が選ばれても損をしたり、自分の意見と異なる決定になる人が出るからです。

なぜボルダールールが最適解なのか【メリット】

そんな、ベストに最も近いと思われるボルダールールのメリットはこちら

 

・票の割れを防げる
・絶対に嫌な選択肢の当選確率を下げられる
・多数決のルール悪用を防げる
・ベターな選択になりやすい

 

具体的にご紹介していきます。

票の割れを防げる

まずは、2位や3位にも票が入るので、票の割れを防げます。

 

「中華も良いけど、ラーメン屋でもいいな」

 

そう思ったら、中華に3点、ラーメンに2点を入れることができます。3点と2点vs1点と0点では、大きな差があります。

 

2位以下を差別化できるため、票の割れを防げます。

絶対に嫌な選択肢の当選確率を下げられる

また、ボルダールールなら、絶対に嫌な選択肢の当選確率を下げることができます

 

先ほどの例(飲食店選び)に再び戻ります。

 

Aラーメン
B中華料理
Cイタリアン
Dハンバーグ
Eステーキ

 

この時に「給料日前だからステーキだけは厳しいな」と思ったら、3位までの全てをステーキ以外に投票することで、ステーキの選択肢が選ばれにくくなります。

 

2位と3位が選べるからこそ、4位・5位(0ポイント)の差が浮き彫りになります。結果的に、絶対嫌な選択肢が選ばれにくくなります。

多数決のルール悪用を防げる

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また、多数決のルールを悪用しようと思うと、こんな方法もあります

 

・敵を作ってでも熱狂的なファンを増やす

 

つまり、2位や3位になっても、一票も入らないのであれば、1位で選ぶ人以外の全てから最下位に指名されても問題ありません。

 

そのため、過激な活動やライバルを貶めるような活動のインセンティブが増えます。

 

結果的に、多数決のルールを悪用し、熱狂的な支持者以外が「この人(アイデア)は絶対嫌だ」と思う案が採用される可能性があります。

 

これを防げるのも、ボルダールールのメリットです。

ベターな選択なりやすい

これまでご紹介した3つのメリット。

 

・票の割れを防げる
・絶対に嫌な選択肢の当選確率を下げられる
・多数決のルール悪用を防げる

 

これらによって、得られるのは「よりベターな選択肢」です

 

結果的に、一つにしか投票できない普通の多数決よりも、ボルダールールを活用した多数決の方が、良い選択肢を選び、多くの人が満足できる結果になりやすいです。

決め方の経済学から考える、多数決の時に意識したいこと

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 ここまでで、今回ご紹介したいことの80%の説明が終わりました

 

宜しければ、あと2つお付き合いください。

 

①多数決の時に何を意識したいか
②決め方を決めることの重要性

 

全体を整理すると、多数決の時に意識すべきはこちらです。

「どんな決め方が最適なのか」
「どういう候補が最適なのか」
「道徳的に見て、正しい選択肢は何か」

 

決め方や、候補の選び方については、ここまでご覧いただいた方は理解していると思います。

 

最後に大切なのは、道徳的に見てどう考えるべきか

 

どうしてもマイノリティは存在します。そして、マイノリティは、「時と場」によって異なります。

 

例えば、一般的な男性でも、彼女との買い物で女性用フロアにいたら、マイノリティです。

 

そこでトラブルが発生した時、普通の男性もマイノリティになるかもしれません。

 

少数派の意見を参考にしないで、数の原理だけで行う意志決定だけが全てではありません。

 

投票や多数決、意思決定に関わる選択には、いかなる時も「道徳的な観点」を持つ必要があります。

 

もちろん、少数派の意見=採用すべき。でも、多数派の意見=採用すべき。でもありません。

 

大切なのは、どんな時もフレキシブルに、広い視野で考えることのできる力です

 

・IT
・AI
・ビックデータ

 

コンピューターに演算力で勝つことは出来ません。しかし、道徳的な考え方や想像力だけは、人間が勝てる領域だと思います。

 決め方を決めた時には、結果が決まることがある

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これまでご紹介してきたように、決め方を決めることは、何が決まるかを決めることにもつながります。

 

どうしても、人は過程よりも結果を重視します。

 

ですが、決め方を決めた時点で勝負が終わっている可能性があります。

 

プロのアームレスリングの人と、何かを決定する時に腕相撲で決める人は居ません。

 

決め方を決める時「これで、本当に公平に正しい結果が出るか」を考える習慣を持ちましょう。

「決め方の経済学書評」間違いだらけの多数決の悪用対策【まとめ】

今回は、決め方の経済学という本の書評をしながら、多数決について考察を進めました。

 

今回ご紹介した知識だけでも、多数決の意志決定ではかなり有利に進めることができると思います。

 

しかし、それ以上の知識と考え方を得るには、実際に本を読むのがベストです。

 

たった一冊で、一つの概念(多数決)について、深く・広く学べる「決め方の経済学」

 

こどもから大人まで使える知識は、こちらで入手可能です。

 
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