今回はGIVE & TAKEの書評です。作者:アダム・グラント。
GIVE & TAKEという言葉自体は、昔からある言葉ですよね。では、この言葉の意味はなんでしょうか?
「与える量=もらう量」
この公式が成り立つのが、ギブ&テイクのイメージだと思います。何かを与えるなら、お返しをもらうべき。そんな風にギブアンドテイク。という言葉からは感じられます。
実際、これまで人に尽くす人は、陽の目を浴びることは少なかったように思えます。
・縁の下の力持ち(目立たない)
・お人よし(むしろ欠点?)
・奉仕する(リターンが少ない)
・名わき役、黒子(主役になれない)
しかしながら、これからの時代、与える人(ギバー)は、勝ち組になる可能性が高いようです。
研究結果でも、与える人の方が高い成果や報酬を得ているケースが最も多いようです。※最も損をしているのも、ギバーのため、注意が必要。(この後ご紹介します。)
そんな「与えること」「与えてもらうこと」に対して、考えることができる本がGIVE & TAKE。書評と考察を交えてご紹介します。
必要な注意点を抑えつつ、ギバーになる。そして、仕事の成果と幸福感を追求する。それが、今回の結論です。
【この本がおすすめな人】
・人生で成功したい
・人に搾取されている時がある
・お人よしと良く言われる
・人に何かをしたら、お返しが欲しくなる
・ついつい、人に頼り過ぎてしまう
・幸せを感じたい
人間は大きく3つに分類できる
人に何かを与える。もらう。という観点では大きく3パターン存在します。※最後の%は大体の比率です。
①ギバー(与える量>もらう量)20-25%
②マッチャー(与える量=もらう量)50-60%
③テイカー(与える量<もらう量) 20-30%
もちろん、人によって特徴が完全に固定することはありません。
状況や相手によって異なります。テイカーでも、お子さんに対してはギバーになることが多いのと同じです。
とはいえ、基本的な考え方や行動パターンについては、ある程度の相関関係があります。
今後の説明に必要な予備知識となるので、まずはこの3つについて覚えておいてください。
「自分は、この3パターンだと、どんな傾向だろうか」
そう考えながら読み進めてください。
自分がどのパターンになるか。の簡易判定
自分がギバーなのか、マッチャーなのかわからない人は、下記の質問に答えてください。※だいたいの参考程度になります。
ほぼ当てはまる:ギバー
半分当てはまる:マッチャー
ほぼ当てはまらない:テイカー
①人に何かをしてあげることに喜びを感じる
②頼みごとを優先して、自分の仕事が終わらない時がある
③見返りを求めない
④誰にも注目されなくても人助けをする
⑤困った人をほっとけない
⑥助けを求めている人がいるか探してしまう
⑦人にアドバイスや助言をするのが好き
⑧周囲の人と強い結びつきがあると思う
⑨富や権力への執着心が少ない
⑩自分のミスを人のせいにしない
7つ以上、大体当てはまる。と思った人はギバーと思って良いと思われます。
なぜ、与える人こそ成功する時代になったのか
お人よしと呼ばれるギバーですが、なぜ成功ができるようになったのでしょうか。
GIVE & TAKEという書籍では、これらが理由として挙げられています。
・成果や行動したことの情報共有がされるようになった
・ギバーならではの、仕事とメンタルのメリットが見つかった
ここから先で、詳しくご紹介していきます。
これまで与える人は損な役回りだった
ご存じの通り、これまでギバーはあまり恩恵を得ることは稀でした。
・人に搾取される
・成果を横取りされる
・目立つことが無い
・実績が評価されない
これらのデメリットを抱えていたのが、与える人の特徴でした。
しかし、これからご紹介する理由によって、ギバーは大きな恩恵を受けることができるようになりました。
なぜ、今になって与える人が有利になったのか
ギバーが恩恵を得ることができるようになった、最大の理由は「情報化社会」です。
つまり、良い行いをしたことが、周りにわかるようになったことです。
これまで、善行とは厚いベールに包まれていました。つまり、何をしているかわからず、人の評価には「結果」が大きく影響を与えていました。
たとえ、どんなに協力を得ていても、結果を出したと思われた人だけが評価されていました。
しかし、情報が見えるようになったことで「過程」への着目が行われるようになり、ギバーの恩恵が増えました。
さらに、SNSなどで人とのつながりが維持しやすくなって点も、ギバーにとっては恩恵となります。(人間関係の寿命が伸びた)
かつては、異動や転職をした人とつながるのは大変でした。
結果的に、ギバーは長期的な人脈の構築や、ゆるく長くつながる関係性を構築できます。
「Aさんには、3年前に助けてもらったから、今回恩返ししよう」
「過去のAさんのプロジェクトの成果を考えて、今の職場に引き抜こう」
このように、ギバーが行った過去の「善行の貯金」が活かしやすくなりました。特に、アメリカでは「リンクトイン」というSNSが流行しているのも、理由になっていると思います。
※リンクトイン:世界最大のビジネスSNS。転職や就職に置いて、キャリア形成の一助となっている。
仕事上のメリット
ギバーの仕事上のメリット、GIVE & TAKEではこのように紹介されています。
・成功した場合のリターンが最大化される
・仕事の横の幅が広がる
・人に称賛される(仲間が増える)
成功した場合のリターンが最大化される
統計的に、ギバーの傾向がある人の方が、高い成果や報酬を得ているようです。
仕事の成果においては、最も高いグループも、最も低いグループも「ギバー」です。
仕事の横の幅が広がる
仕事の成果が見えるようになったり、SNSのつながり。さらに、ギバーは緩い人とのつながりが作りやすいため、仕事の幅が増えます。
誰しも、恩を受けた人のことは忘れません。
10年前、仕事でお世話になりっぱなしの人から、電話が来て「○○のプロジェクトで力を貸して欲しい」と言われたら、喜んで協力したくなりますよね。
恩がある人に、頼ってもらえることよりうれしいことはありません。
人に称賛される(仲間が増える)
さらに、ギバーは人からの評判が良い(感情的に好かれる)ため、仕事の成果に対しての高い称賛を得られます。
努力していて、良い人である同僚が、凄い結果を出したら「よし、祝勝会しよう」と声をかけたくなりますよね。
逆に、テイカー(奪う人)が結果を出しても、素直に褒められないと思います。「どうせ、あいつは人の成果を横取りした」と思うからです。
つまり、同じ結果を出しても、人からの称賛を受けやすいのが「与える人」です。
幸福感のメリット
仕事以外にも、ギバーにはメリットがあります。それは、幸福感が増すことです。
実際に、人はボランティアに参加している人ほど、幸福感が高い傾向にあるようです。
人の仕事の手伝いも、ボランティアと言えます。つまり、人を助けていることによって、自動的に「幸福感」という報酬が得られます。
ギバーでいるだけで、幸福感が増す。見逃せないメリットだと思います。
ギバーが気を付けるべきこと
何度か触れているように、ギバー=成功者ではありません。
もっとも報酬の少ない人も、ギバーであるからです。では、その分かれ道はどこにあるでしょうか?
それは大きく2つあります。
・与え過ぎて消耗する
・テイカーに与え過ぎてしまう
与え過ぎて消耗する
ボランティアには、幸福感との相関関係が認められますが、ボランティア時間が増えすぎると、逆に幸福感が下がるようです。
たしかに、フルタイム勤務をしながら、週20時間もボランティアをしていれば、自分の時間が無く辛いと思います。
自分の余暇や、成長に割く時間は全ての人に必要です。
つまり、失敗するギバーは「与え過ぎ」です。
他人の仕事を手伝うために、毎日3時間も消耗していれば、自分の仕事行う余地がありません。もちろん、仕事でも成果が出ません。
おすすめは、5分程度のギブを積極的に行うこと。小さな手伝いは、自分の時間を失いません。
他にも、費用対効果を意識することもおすすめです。ギバーな人は、費用対効果を考えずに、与え過ぎます。
人としては立派な行動ですが、仕事の場合だけは、少しだけでも費用対効果を意識することをおすすめします。
テイカーに与え過ぎてしまう
ギバーの最大の過ちは、テイカー(奪う人)に与え過ぎてしまうことだと思います。
なぜなら、相手は感謝も見返りも与えず、利用されるだけ利用されるからです。
とはいえ、テイカーを見破るのは難しいようです。短期間で、相手の傾向を見定めて、良い人間関係を作りたいなら、周囲の人を変えるべきです。
つまり、身の回りを「ギバー」と「マッチャー」ばかりにすれば問題解決です。
そのためにおすすめの方法は「しっぺ返し戦略」です。ゲーム理論で裏付けされた方法の詳細はこちらから。
見返りのあるギバーになろう
先ほど注意点として紹介した2つのこと。
・与え過ぎない
・テイカーに奪われない
これらを意識しながら、あなた自身もギバーになってみませんか?
もちろん、心構えだけで変化するのは難しいと思います。そのため、こんなことを心がけてみましょう。
・募金箱があったら、小銭を入れる
・5分でできる援助は積極的に行う
・まずは、与える人になる
地道な努力の積み重ねで、人は変わります。トップのギバーになる必要はたぶんありません。
しかし、カテゴライズしたら、ギバーになるくらいになるメリットはあると思います。
募金をする人ほど、給与の成長率が高くなる。というデータもあります。募金箱があったら、少額でも募金してみましょう。
GIVE & TAKE 書評 まとめ
今回は、GIVE & TAKE の書評でした。
与えることの意義やメリットについて、具体的に知れることも需要ですが、この本の最大の魅力は「与える行為を承認してもらえること」だと思います。
人に協力したり、援助するのは手間もかかりますし、苦労もあります。
時に「こんなことをしていていいのか?」と疑問になる時もあります。
しかし、科学がそれを良いと認めているなら、今まで以上に人のために行動できるようになれると思います。
GIVE & TAKE。何よりも大切なのは、与えることです。与えた先にだけ、TAKEがあります。
GIVE & TAKEを書いた「アダム・グラントさん」この本もおすすめです。ブログを書いたり、SNSをしていたり、起業したい人必読の本です。