今回は、50(フィフティ)いまの経済をつくったモノの書評です。作者、ティム・ハーフォードさん。
最初に結論。「経済のターニングポイントを知り、発明のパワーを感じることができる本」です。
今の経済を作ったのは、どんなものだと思いますか?
・お金
・紙
・銀行
・保険
など、様々なものが思いつくかと思います。では、実際にその発明はどんなインパクトを私たちに与えているのでしょうか?
そんな疑問に答えてくれるのが、50いまの経済をつくったモノです。
小難しい経済学の話。というよりは、経済と人の暮らしを変えてきた原動力の光と影について知れる本です。
・いまの経済をつくったモノを読む意味
・いまの経済をつくったモノの概要
・いまの経済をつくったモノで特に面白いとおもったモノ
こちらの3本立てでご紹介します。
いまの経済をつくったモノを読む意味
まずは、今回ご紹介している、いまの経済をつくったモノを読む意味からご紹介します。
・経済と発明の力学を知れる
・私たちが享受している生活のありがたさがわかる
・発明の光と影を知れる
どの知識もそうですが、仕事や日常生活で使う情報以外は無くても生活ができます。
しかし、普段から接しているモノに対しての理解が深まれば、それだけありがたみは増します。
たとえ、同じオムライスだったとしても、子供が一生懸命作ってくれたオムライスなら、より美味しさが増します。
他にも、卵の生産過程や調理方法の歴史など、周辺知識をしれば知るほど、オムライスのありがたみは増える。
いまの経済をつくったモノは、当然ながら非常に身近なモノについての理解が深まります。(今の経済を作る。ということは、それだけ身近だから。)
結果、普段の生活をしているなかで、ありがたみや、興味を持てることが増えるでしょう。
単純に読み物として面白い点も魅力です。
いまの経済をつくったモノの概要
では、そんないまの経済をつくったモノの概要をご紹介します。
いまの経済をつくったモノは、大きく分けて7つのパートに分かれています。
1.勝者と敗者:大きく人の生活を変えた発明品
2.暮らし方を一変させる
3.新しいシステム
4.アイデアのためのアイデア
5.発明がどこから来るか
6.見える手:経済を動かす力学
7.車輪を発明する:広く使われている発明
7つのテーマで50の発明品を学ぶことができます。
いまの経済をつくったモノで特に面白いと感じた3つのこと
ここからは、具体的にいまの経済をつくったモノを読んで「面白い」と特に感じた部分を3つ取り上げます。
1.蓄音機
2.ハーバー・ボッシュ法
3.モバイル送金
1.蓄音機
蓄音機はどのように世界を変えたと思いますか?
・音が録音できるようになった
蓄音。たったこれだけのことが、経済に強大なインパクトを与えました。
もし、友人5人に好きな日本人歌手を聞いたら誰が出てくると思いますか?
なんとなく、想像できるし、ほとんどの歌手をあなたも知っていることでしょう。
それが、蓄音機が与えたインパクトです。
蓄音機が無いころ、好きな歌手はそれこそ無数にいました。歌手一人が提供できる歌というサービスは、一度に数百人程度だったからです。
しかし、蓄音機により、世界中全ての人に、たった一人で音楽を届けることができました。
つまり、勝者総取りです。
・極一部の歌手:莫大な影響力を報酬
・その他の一流歌手:歌で稼ぐことが非常に難しい
それが、蓄音機が世界に与えたインパクトです。
上位1%のアーティストのコンサート収入は、下位95%のアーティストの収入合計の5倍です。
2.ハーバー・ボッシュ法
世界の人口がここまで増えた(増やせた)理由の一つとして、ハーバー・ボッシュ法があります。
これは、空気中から窒素を取り出す技術です。空気からパンを作る技術。とも呼ばれています。
窒素は、それこそ世界中に莫大な量存在します。そして、その窒素は植物の栄養になります。
「なら、植物は空気から窒素を取っているんだろう」
そう思うかもしれませんが、なぜか植物は空気から窒素を取ることができません。
だからこそ、ハーバー・ボッシュ法で、空気から窒素を抽出し、肥料にすることで植物はより育ちます。
結果、今の人類を賄えるだけの食糧生産に貢献しました。
とはいえ、ハーバー・ボッシュ法にもデメリットがあります。
・エネルギーを消費する(世界の消費量の1%)
・温室効果ガスを排出する
・人口が増えすぎる
エネルギーを大量に消費し、温室効果ガスを排出しています。また、人口が増えたことにより、より地球環境は汚れてしまいます。
どうしても、人口が多ければ、移動や服、食事などあらゆる面で地球環境的にはよろしくない面もあります。(人口が多い方が、それを改善する知恵も生まれるので、一概には言えませんが。)
ここでも、今の経済をつくった発明品は、光と影があります。
3.モバイル送金
最後は、モバイル送金です。
日本でも、モバイル決済やモバイル送金がメジャーになってきたと思います。
ですが、モバイル送金は新興国ほど大きなメリットがあります。
それは「マイクロファイナンス」が出来るからです。つまり、少額の融資を受けることができます。
ファクトフルネスでも書かれていましたが、移動手段が徒歩⇒自転車になるだけで、大きなインパクトがあります。
少額の融資さえあれば、中古の自転車を購入することができます。
・時間が出来るので、子供が勉強できる
・職場の選択肢が増えて、給料が増える
・輸送距離が増えて、給料が増える
などなど、本当に小さなお金や変化により、生活の質を向上させることができます。
わずかなお金でも、少しずつ貯えることで出来れば生活は変わります。
また、お金のやり取りが明確(追跡できる)ので
・脱税対策
・わいろ抑制
・強盗対策
などもメリットもあります。
日本にいると、モバイル決済は「財布を出す必要が無い」や「ポイントが貯まる」くらいの恩恵しかありません。
50いまの経済をつくったモノ書評「まとめ」
今回は、少しコンパクトに書評をしてみました。
いまの経済には数えきれないほどの変化点があり、ここまで成長してきています。
しかし、何がどうなって今の経済を作っているか。についてはわからないことの方が多いんだな。とこの本を読んで感じました。
知らなくても生活できることかもしれません。
それでも、発明によってどのように経済が変わったか。の実例を知ることで、今後の変化を予測する材料にもなると思います。