今回は、「LEAN IN」作者シェリル・サンドバーグさんの本の書評・レビューです。
フェイスブックのCOOを務める彼女が考える、女性が仕事で活躍する時の2つの障壁。
仕事や子育てで考えるべきことについて、知ることができます。
「私は高い役職につきたくない」
「仕事と家庭を両立するのが大変」
「キャリアも家庭も大切にしたい」
そんな風に思う人にこそ、読んで欲しい一冊です。
統計的に、女性はインポスター症候群になりやすいと言われています。
※インポスター症候群:インポスター=詐欺師。自分の成功や地位を素直に認められず、人を騙しているような気持ちになること。
当たり前ですが、女性も男性も同じように活躍できます。しかし、現時点では、男性が仕事で優位な立場になっているには、女性に大きく2つの障壁があるからです。
①女性自身が作ってしまう壁
②社会が女性に対して作る壁
伝説の投資家、ウォーレン・バフェットさんはこのような言葉を残しています。※LEAN INで知った言葉。
「私がここまで成功できたのは、世界の半分の人(男性)しか相手にしてこなかったから」
いきなり社会にある障壁を打ち壊すことは難しいです。しかし、自分自身が知らず知らずのうちに、作っている壁を壊すことは出来ます。
そんなことを考えさせてくれる「LEAN IN」の書評・レビューです。
- 作者のシェリル・サンドバーグさんとは
- 女性がキャリアで直面する2つの障壁
- 一歩踏み出すことで、女性の未来を変えていく
- 家庭・子育てを、どうやって男性と分担するか
- 「LEAN IN」女性が知るべき2つの障壁「書評・レビュー」まとめ
(注)男性・女性でどちらからが優れていることはありません。あくまで、統計的に差異がある部分について、表現するように心がけております。
(注)このブログは「LEAN IN」を基に、個人の意見や感想が含まれます。本の内容と完全一致しませんので、ご容赦ください。
作者のシェリル・サンドバーグさんとは
シェリル・サンドバーグさんは、現在フェイスブックのCOOを務めています。また、フェイスブックで初の女性女性役員になっています。
さらに、2012年に、タイム誌が選ぶ最も有力な人を選ぶ「タイム100」に選出。フォーチュン誌の「ビジネスにおいて最もパワフルな女性50」にも選ばれ続けています。
そんな経歴のある彼女ですが、家庭を持ち、息子と娘を持つ母親でもあります。
もちろん、男女共に全ての人がこのようなキャリアを築くことは難しいです。しかし、家庭と子育てをしながらでも、世界で影響力を持つ人はいます。
そんな、シェリル・サンドバーグさんが考える「仕事・家庭」について、知れることが、この本の一番のメリットです。
ちなみにLEAN INとは、一歩踏み出す力です。全ての女性も、男性も仕事にまい進する必要は無いと思っています。
しかし、自分の人生で大切にしている価値観については、全ての人ができるだけ前向きにまい進できるシステムが大切だと思います。
ちなみに、同作者の「オプションB」も非常におすすめです。辛い経験から立ち直る力を得られます。
女性がキャリアで直面する2つの障壁
ここからは、女性がキャリアで直面する2つの障壁について、ご紹介します。
①女性自身が作ってしまう壁
②社会が女性に対して作る壁
逆言えば、伸びしろに関しては、大きな障壁のある女性の方が圧倒的にあります。年々、着実に女性は正しく実力を発揮していく未来になると思います。
女性自身が作ってしまう障壁
まずは、女性自身が作る障壁です。女性によっては、パートナーやパートナー候補ができる前から「結婚して、子供が出来たら仕事をどうしようか」と考えるようです。
そのため、職業選択の時点から、家庭を持っても続けられそうな仕事を選んだり、果敢なチャレンジにしり込みしたりすることがあります。
確かに、現実的に考えれば、しり込みする気持ちはわかります。※男性の私でも、結婚を考えて職業を選択しました。(転勤の有無や勤務時間、有給制度など)
また、女性の方が現実的です。現実思考は良い面の方が多いですが、仕事に関してはデメリットになる可能性があります。
同じような学力の男女に、テスト成績を予想させるとこんな結果になります。
・男性:実際より、高めの評価を予測
・女性:実際より、低めの評価を予測
つまり、女性は自分に能力があるにも関わらず、それを正しく認識できない場合があります。
結果的に、チャレンジすれば実現できることでも、しり込みしてしまう可能性があります。
これが、女性自身が作ってしまう障壁です。
社会が女性に対して作る障壁
では、社会が女性に作る障壁とはどんなものがあるでしょうか。このブログでは取り上げきれないほどの障壁があります。
参考例として、3つご紹介します。
①できる女性は嫌われる
②女性は献身的でつつましくあるべき
③男性はポテンシャル、女性は実績
整理していて、気が重くなるほど現在の社会は不完全です。
①できる女性は嫌われる
ある経営者のストーリーを「男性」と「女性」に分けて学生に伝えます。
例えば、22歳で大手金融会社⇒28歳で起業⇒35歳で上場。などに肉付けする。
その場合、学生からの評価ではこのような結果になりました。
・仕事の能力:男女共に同じ評価
・人物評価:男性を高く、女性を低く評価
全く同じストーリーを聞かせたにも関わらず、性別の差によって、人物評価は変わりました。
このようなことは、女性ならなんとなく理解していることかもしれません。
だからこそ、女性は自分で障壁を作ってしまいやすいです。これは確実に社会的な障壁と言えます。
努力して仕事が出来るようになっても、嫌われてしまってはモチベーションが上がるはずありません。
②女性は献身的でつつましくあるべき
こちらもステレオタイプへの当て込みが原因です。
・男性:果敢にチャレンジすべき
・女性:つつましく、献身的であるべき
もちろん、性差によって得意な場所や苦手な場所があるのは当たり前です。しかし、研究結果では、女性には残酷なデータが見つかっています。
■仕事で同僚に協力をした場合
・男性が協力:感謝をされて、恩に報いようとする
・女性が協力:あまり感謝されず、恩に向いてもらいにくい
このことは「ジェンダーディスカウント」と呼ばれているようです。
「女性は献身的だから、人を助けるのは当然」
このように思われてしまうようです。また、同僚を助けなかった場合の評価はこちらです。
・男性:評価に影響無し
・女性:評価が悪くなる
助けても、たいして感謝されないのに、助けない時だけ評価が下がる。そんな傾向があるようです。
③男性はポテンシャル、女性は実績
また、仕事の評価でも、男女には壁があります。
男性は、「こいつ、成長しそう」と思われるだけで、実績が無くても昇進したり、昇給したりします。
しかし、女性の場合は、将来性ではなく「これまでの実績」で評価されます。実績が出るまでには時間がかかります。
結果的に、女性の方が評価されるのに時間がかかります。
一歩踏み出すことで、女性の未来を変えていく
では、そんな女性にある2つの障壁を乗り越えるにはどうすれば良いでしょうか。
まだまだ、どの国でも完璧な男女共同参画社会を実現できていません。そのため、私にも正解はわかりません。
ここでご紹介するのも、不完全な方法だと思います。それでも、改善に向けて一歩でも踏み出すためにご紹介します。
現時点で考えていること、LEAN INに紹介されているのはこちら。
・男女共に、これらの社会的な障壁やバイアスを知ること
・男女共に、不平等に対して声を上げること
・女性が高い地位を得るために努力すること
男女共に社会的な障壁やバイアスを知る
まずは、ここでご紹介したような障壁について、全ての人が知る必要があります。バイアス(思い込み)は非常に罪深いモノです。
・自分がバイアスを持っていることに気づきにくい
・完璧にデバイアス(バイアスを無くす)ことは難しい
とはいえ、まずは自分のバイアスを認知しないことには、改善はあり得ません。また、定期的に、自分がバイアスに囚われていないか確認が必要です。
女性が抱える障壁に対して声を上げる
また、男女共に、このバイアスについて声を上げることが必要です。
・不平等を訴える
・正しい情報を世界に伝える
これらの地道な活動が必要です。バイアスを知り、バイアスを知らない人に伝える作業が、改善に向けた最初のステップです。
女性が高い地位を得る
最後に、女性が高い地位を得ることです。(女性が努力していない。という意味ではありません。)
結局のところ、多数決は最強です。これまでの改善により、女性が働くこと自体のハードルは下がっています。
とはいえ、まだまだ社会で高い地位についている人は少ないのが現状です。
日本でも、学位所得者は女性の方が多いにも関わらず、女性の経営幹部や国会議員が少ないのが現状です。
様々な障壁があるため、女性の方が高い地位を得ることは難しいです。それでも、女性がより活躍して、声を上げる必要があると思います。
残念ながら、人数が多い集団が最も力を持つのは世の常です。
もちろん、そのために男性は出来る限りのデバイアス(バイアスを排除する)と協力を行うことは前提条件です。
家庭・子育てを、どうやって男性と分担するか
最後に、家庭・子育てについてご紹介します。
現時点、共働き世代でも女性の家事負担比率は高い傾向があります。
当たり前ですが、共に働いているなら家事負担は1:1であるべきです。
そのために必要なことはこちら。
・男性に、家事負担を等分すべきことを理解させる
・得意、不得意で家事分担をする
・1:1にこだわり過ぎない
・男性の家事のミスをなるべく見逃す
男性に、家事負担を等分すべきことを理解させる
まずは、男女共に家事負担が等分すべきことを理解してもらう必要があります。
「男子台所に入るべからず」
などの古い言葉は終わにしましょう。ちなみに、この前ご紹介した外山滋比古さんの「人生二毛作のすすめ」では、男子こそ台所に入るべき。と書かれていました。
お互いに話し合いをして、双方向の理解が必要です。価値観の差を埋めるのは、難しいですが、それでも必要なことです。
※考え方が似ている、男女等分の家事に賛成の男性と結婚するのが楽かもしれませんが。
得意、不得意で家事分担をする
家事の負担を定量化することは難しいです。
・時間
・体の負荷
・心の負荷
・必要な能力
などが、異なるからです。力仕事が好きな人や、植物が好きな人は庭の手入れの負担は少なく感じます。
一方、きめ細かい作業が苦手な人は、洗濯や洗い物が苦手かもしれません。
また、一部の子育てでは女性しかできないこともあります。
それらを踏まえて、家事分担をするのがおすすめです。完全に半分こにしようと思うと、長続きしません。
1:1にこだわり過ぎない
先ほどもお伝えしたように、1:1の比率にこだわり過ぎると長続きしません。
家事については、「自分の方が働いている」というバイアスが生まれやすいです。
そのため、もし、全く同じ負担の家事をしても、男女共に「自分の方がやっているのに、パートナーは家事をしない」
などと、思ってしまい、喧嘩の理由になるからです。
男性の家事のミスをなるべく見逃す
男性の家事のミスはなるべく見逃しましょう。
これは、何も私の個人的な意見ではありません。
統計的に、男性の家事に文句を言ってしまう人ほど、自分の家事負担が増えるようです。
「そんな洗い方じゃだめ!もう、私がやるよ」
となってしまうからです。夫婦円満のためにも、女性の負担を減らすためにも、なるべく目をつむるのがおすすめです。
どうしても気になる。という人は、男性が家事をしている間は、離れているのがおすすめです。
最初は全然ダメでも、ある程度のところまではいつか成長するはずです。
「LEAN IN」女性が知るべき2つの障壁「書評・レビュー」まとめ
今回は、「LEAN IN」を参考に
・女性が知るべき2つの障壁
・2つの障壁をなくす方法
・子育て、家庭をどうやって分担するか
について、ご紹介をしました。
男女の差については、非常に繊細で、つかみどころの無い問題です。一つの公式に当てはめれば解決するような問題ではありません。
だからこそ、日々少しずつ改善・日々一歩ずつ踏み出す力が必要だと思っています。
自分の実力や可能性に気付いていない女性が、自分を信じれるようになり、女性の可能性を知らない男性が、可能性に気づくきっかけになれば、幸いです。
このブログの参考書籍「LEAN IN」はこちらです。是非、夫婦でお読みください。