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「フェアトレードのおかしな事実 書評」ウィグル問題の今だからこそ考えたいこと

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ウィグル問題がある、今だからこそ考えたいこと。今回は、フェアトレードを軸に、先進国と発展途上国について考えたいと思います。

 

フェアトレードは、発展途上国の人を守るシステムです。

 

しかし、そんなフェアトレードにも、歪みがあります。

 

フェアトレード価格よりも、市場価格の方が高い
フェアトレードでの取引利益は、現地組合だけが儲ける場合がある

 

もちろん、フェアトレードという概念を広げたこと。また、フェアトレードにより、安定して農産物の売り上げが確保できるようになったことも事実です。

 

しかしながら、フェアトレード=最適解。とは言い切れないのが現状です

 

そんなフェアトレードの真実や、発展途上国で働く人に着目した、ルポがこの本です。(フェアトレードのおかしな事実)

 

ここに書かれているのは、特に状況が厳しい例だと思うので、全世界でこのような状態になっているかは不明です。

 

全てを鵜吞みにはできません。とはいえ、知っておくべき事実だと思います。

 

【このエントリーで考えられること】

フェアトレードとはなにか
発展途上国はどんな暮らしなのか
・私たちに何ができるか

 

そんなことを考えるきっかけになれば幸いです。

 

今回の参考書籍はこちら。「フェアトレードのおかしな事実」

フェアトレードとはなにか

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まずは、おさらい。フェアトレードとは、フェア(公平)な取引を推進する行為です。

 

基本的に、ビジネスの原理は売り手と買い手が対等です。しかし、ほとんどの場合は、買い手が有利です。

 

特に、先進国と発展途上国の取引の場合は、買い手有利になる傾向があります。それを抑制しwinwinの取引を推進しているのが、フェアトレードです。

フェアトレードは基本的に良い取り組み

当たり前ですが、フェアトレードは基本的に良い面の方が多いです。

 

その理由はこちら。

フェアトレードにより、発展途上国の経済が安定する
フェアトレードという概念を広めている

 

フェアトレードがある事により、生産物の最低価格が保証されます。そのため、生産者は安定した売り上げを見込めます。

 

毎年売り上げが大きく変動するようでは、生産計画も、人生計画も立てることができません。

 

また、フェアトレードという概念を広めていること。も非常に良い点です。

 

知らないことについて考えることは出来ません。フェアトレードについても同様です。

 

まずは、フェアトレードという概念を知ることが、改善の一歩目です。ソクラテス無知の知」という言葉を生み出しています。

フェアトレードの歪み

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そんな魅力的なフェアトレードですが、残念ながら歪みもあります。

 

"フェアトレードのおかしな事実"では、こんなことが紹介されています。

 

フェアトレードの運営費が必要
フェアトレードを受ける現地組合の管理費がある
フェアトレード価格よりも、市場価格の方が高い

フェアトレードの運営費が必要

当然ながら、フェアトレード協会が取引の間に入ります。そのため、協会側の運営費が必要になります。

 

・取引の推進
・キャンペーンなどの広告費
・人の管理
・オフィスの維持費

 

等々、様々な費用が発生します。結局、それを負担しているのは買い手と売り手です。

 

本当の理想は、仲介をする組織が無く、フェアな取引ができることです。

フェアトレードを受ける現地組合の管理費がある

また、フェアトレードの運営は非常に煩雑です。

 

そのため、現地の組合=フェアトレードの取引となります。※現地で個人とやり取りすると、運営費がかかりすぎる。

 

とはいえ、地域によっては現地組合の管理費が高すぎる場合もあり、約半分の利益を組合がかすめる場合もあるようです

 

そのため、せっかくフェアトレードをしても、生産者へ還元されないリスクがあります。 

フェアトレード価格よりも、市場価格の方が高い

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フェアトレードの対象地域・生産においても、フェアトレード価格で取引をされていない場合があります。

 

それは、市場価格の方が、フェアトレード価格より高い場合です。

 

フェアトレードの認証をしてなくても、企業は市場価格で製品を買います。つまり、こうなります。

 

フェアトレードを介す取引=フェアトレードを介さない取引

 

つまり、フェアトレードの認証があるからと言って、他社よりも高め(公平な価格)で取引をしているとは限りません。

 

逆に、フェアトレードの認証が無くても、高く(適正価格で)購入してる企業もあります。※詳細は後半で。

フェアトレードブランディングになる【企業のメリット】

少し考える場所を変えて、フェアトレードを行う企業側のメリットについてご紹介します。

 

ご想像の通り、企業イメージの向上が期待できます。誰しも、人から搾取した製品を買いたいとは思えないですよね?

 

もちろん、多少のコストUPはあります。しかし、製品の材料原価などは、大きな影響を与えません。

 

・広告費
・パッケージ
・開発費
・輸送費

 

これらの比重の方が大きい場合があります。結果的に、企業としては、フェアトレードなどの認証により、大幅なコストアップなしに、ブランディングが可能です。

 

もちろん、フェアトレード協会があるので、取引の手間を大幅には増えません。

先進国の生活は、多くの発展途上国の人に支えられている

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"フェアトレードのおかしな事実"を読んで感じたのは、私たちの生活は、多くの発展途上国の人によって支えられていることです。

 

当たり前ですが、発展途上国の生産には大きな負担があります。

 

・低賃金
・安全でない
・天候の影響を大きく受ける
・将来の見通しが立たない

 

そんな中で、一生懸命生産してもらった成果物を消費して、私たちは生きています。

 

グローバル化によって、消費者は「何を・誰が・どんなふうに」生産しているかわかりません。

 

何気なく触れている、スマホや家具。食品には、多くの発展途上国の人の大変な労働に支えられています。

 

もちろん、物価や付加価値が異なるため、一概に先進国だけが得をしている。とは言い切れないかもしれませんが。

フェアトレードを実現する興味深い事例

"フェアトレードのおかしな事実"には、希望も書かれています。

 

そんな事例を2つご紹介します。

 

今後、私たちが考えるべきは、こういったビジネス形態だと思います。

フェアトレードを通さずに、フェアトレードを行う

フェアトレードを通すことで、2つのデメリットがあります。

 

フェアトレードの運営費
・現地組合の管理費

 

これらを無くすため、直接現地と取引をしている事例がありました。(コーヒー豆)それは、市場価格よりも高い価格で購入もしています。

 

市場価格より高く買う⇒農家がより高い品質を目指す⇒高品質のコーヒー豆を変える⇒高品質のコーヒーを提供できる

 

この試みは、現地の農家への利益が最大化されます。さらに、それによってさらに農産物の品質が上がります。

 

こういった取り組みこそ、本当のフェアトレードだと感じました。

市場原理(利益の出る方法)で発展途上国を支援する

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また、オラムという会社の「綿」の購入の取り組みも素敵でした。

 

・種を無料で配布
・農薬や肥料購入費を無利子で貸し出し
 ⇒他の農産物用の肥料分も貸し出し

 

これらによって、こんな利益があります。

生産者の利益

・種が無料で、無利子でお金を借りれるので、元手が無くても生産ができる。(高品質の種のため、生産性も上がる)

・売り手が決まっているので、確実に購入してもらえる
・他の農作物農薬や肥料も援助してもらえる

 

購入者の利益

・種が高品質なため、良い綿を購入できる
・無利子で貸し出した分、生産量が増え、大量に購入できる
・他の農作物分を援助することで、必要な分、綿の農地に農薬が使われる

 

特に面白いのが、他の農産物への援助です。(オラムが購入しない農産物への援助をしている)

 

援助しない場合は、綿への農薬や肥料を、勝手に他の農作物へ使われます。

 

しかし、他の農産物への援助も行うことで、確実に綿に必要な分が供給されます。結果的に品質が確保されます。

 

これらの活動によって、こちらもwinwinの取引が実現できています。

 

あくまで、ビジネスとして合理的な判断をした結果。双方に利益がもたらされています。

フェアトレードに必要なのは、合理的な市場原理

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ここまでご紹介したことを踏まえると、本当に必要なのは「援助」では無く「合理的な売買」です。

 

・学校を作っても教師がいない
・井戸を作ったが、修理部品が無くて使われなくなる

 

こういった事例は無数にあります。

 

しかし、合理的なビジネスを突き詰めていくと、両者に利益のある取引ができます

 

搾取によって、一時的には大きな収益が上がっても、永続的な利益の追求は難しいです。

 

・生産物の品質が下がる
・生産物の生産量が下がる
・他の企業に取引をされる
・企業イメージが低下する

 

搾取による未来は、決して理想的とは言えません。

現在のウィグル問題について思うこと

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ここからは、昨今のウィグル問題を受けた、個人の意見となります。

 

フェアトレードのおかしな事実」の書評については、以上となります。

中国を取るか、取らないかのトレードオフになっている

ウィグル製を買わないことで、その企業の不買問題が発生します。

 

「そんなこと言っても、買ってはだめだ」

 

私もそう思います。しかし、不買問題により企業が倒産した場合は、多くの影響が出ます。

 

・会社に勤める人
・務める人の家族
・他のサプライヤーの売り上げ

 

中国への依存度が低い場合は大丈夫かもしれません。しかし、そうでない場合は、非常に難しい判断だと思います。

 

世界有数の消費力のある国を、簡単に切り離すことは出来ません。

 

誰かを守るためには、誰かが犠牲になる場合があるからです。

使わない=正義とは言い切れない

では、ウィグル問題など、フェアトレードができていないものを買わないのは、正義でしょうか?

 

確かに、そういった企業から物を買うことで、問題解決を阻害する可能性があります。

 

しかし、買わないということは、全くお金が入らないことと同じです。

 

問題があるから、買わないようにする。

 

その結果、今よりも悲惨な状況になる可能性があります。この判断も非常に難しいと思います。

企業が確認できる範囲は限られる

企業自身も、コンプライアンスの観点でサプライチェーンを調べていると思います。

 

それでも、購入品の生産地・生産状況・労務環境などを、完璧に全てを把握することは難しいです。

 

直接取引している会社が、また別の会社と取引をしています。その会社もまた、別の会社と取引をしています。

 

数珠つなぎのようになっているサプライチェーン。完璧に管理することは出来ません。

 

国境を超えると、なおさらです。文化も法律も、環境も異なるからです。

 

綿だけをみて「これはフェアトレード。これはアンフェア」という判断は出来ません。(製品を見るだけで、労働環境を確認することは出来ません。)

三者認証=間違いない?

最後に、第三者認証についてです。

 

フェアトレード含め、第三者が認証しているから、間違いなく自然や人に優しいとは限りません。

 

現地にお金が落ちていても、それを組合が管理費としてかすめている場合もあります。

 

日本で、モノを買う時。全てがクリーンで人に優しいかを、判断することは非常に難しいです。

今回伝えたいこと【フェアトレードのおかしな事実 書評】

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今回のエントリー、書評でお伝えしたいことは「事実の理解は難しい」ということです。

 

・認証があるから確実
サプライチェーンに確認したから大丈夫
・○○から購入していないから安全

 

そんなことはありません。絶えず、消費者は目を光らせて、より良い取引が出来ているか監視する必要があります。

 

複雑な事象ほど、現実は曖昧模糊で、間違いのない選択は難しいです。

 

そんな、複雑で事実がわからない、フェアトレード。この本で多くの発見と気づきがあると思います。

 

まずは、少しでも多く、確度の高い情報を仕入れること。

 

それが、未来を切り開く最初の一歩です。