売れている本を見ると、だいたいはっきりとした表現を多用している本が、多いように見受けられます。
・絶対に○○できる
・確実に成功する○○
・これだけやれば大丈夫
そんな表現が多いのは、コピーライティング技術の向上が理由の一つでしょう。
とはいえ、個人的には全てを言い切るような作者の本よりも、曖昧さが残る本の方が信頼できると感じています。
その3つの理由をご紹介します。
本選びの参考になれば幸いです。
全ての悪い本が言い切っている。とは言いませんが、わかりやすさと引き換えに、間違った情報に騙されてしまう可能性はあります。
はっきりと言い切ることで、人は信じる=売れる
そもそも、本を書いたり、ブログを書いている人は「コピーライティング」を学んでいます。
コピーライティングとは、人の関心を引き付けるための文章術です。
文章を人に買ってもらうために、多くの人が知恵を絞った結果です。しかし、コピーライティングの怖いところは、あくまで装飾品ということです。
実際に書かれている内容に関係なく
・人の関心を引く
・購買意欲が増える
・信頼する
といった結果を出すことができてしまいます。内容が良いかどうか。は関係ありません。
はっきりと言い切ることは、コピーライティングの基本です。
問題は、コピーライティングで「この本信頼できる」と感じさせられているにも関わらず、内容が間違っていることがある場合です。
信頼できる本の特徴は言い切らないこと。だと思う3つの理由
ここからは、具体的に「言い切らない」表現を使う本が信頼できるな。と私が感じている理由を3つ取り上げます。
頭の良い人ほど、曖昧さを受け入れられるモノです。
1.VUCAな時代は曖昧さに満ち溢れている
昨今は「VUCA」の時代と呼ばれています。※ブーカと読みます。
V:volatility(変動性)
U:uncertainty(不確実性)
C:complexity(複雑性)
A:ambiguity(曖昧性)
細かいところは気にしなくても良いのですが、とにかく移り変わりやすく、曖昧模糊な時代です。
そんな時代に「絶対に○○」なんて法則は、数学、物理、化学などにしか存在しません。
そのことを念頭に置いている作者は、曖昧な表現を好みます。だから信用できます。
物事に絶対に法則がある。と信じ込むことは危険です。
2.キャッチーさのトレードオフが無い
キャッチーである。ということは、間違った情報を受ける可能性がある。とも言えます。
例えば、1,000人中、950人に効果のある方法があるとします。
・キャッチーな場合:誰しも簡単に○○になる禁断の手法
・言い切らない場合:多くの人の生活が変わるかもしれない方法
どちらがキャッチーで興味をひかれますか?前者の方がなんとなく気になるかと思います。
しかし、書かれている内容は同じです。
・誰でも簡単に出来る禁断の方法だと思って読んだ人
・多くの人に効果がある可能性を知りたい人
正しく情報をインプットできるのは、後者です。
3.科学や統計の不確実性を認識している
ほとんどの科学的な情報は、VUCAです。(VUCAを使いたいだけ)
一度検証された情報でも、その後の追加試験で間違っていた。となることがあります。
STAP細胞のことを思い出せば、そのことを理解できると思います。
超一流の科学雑誌に載った研究でも、間違っている可能性はあります。
だからこそ、信頼できる作者は、表現にあいまいさを残します。
「現時点、知っている範囲で正しい可能性が高い情報はこれ。」
そんなスタンスで本を書いているからだと思います。
最近読んだ「言い切らない本」
じゃあ、そんな言い切らない本はあるの?という疑問に回答します。
最近読んで信頼できるかもしれない。と思ったのは、この本です。(内容も面白いので、おすすめ)
「脳にいいことわるいこと大全」
作者本人も言い切らないと売れにくい。ということを理解しつつ、書かれている点に好印象です。
もちろん「言い切らない作者=確実に信頼できる」というわけではありません。
あくまで個人的に感じている傾向値です。
信頼できる本の特徴は「言い切らないこと」まとめ
今回は、信頼できる本を判断する、一つの材料として「言い切らない作者」をご紹介しました。
繰り返しになりますが
・言い切る=信頼できない
・言い切らない=信頼できる
などの、単純な公式ではありません。
しかし、あまりにも断言が多いような本を読んだ時は「本当かな?」と疑う心も大切かと思います。
誰しも騙されやすいのが人間の特徴です。
過剰にならない範囲で予防線を張ることをおすすめします。