今回は、残酷すぎる成功法則の書評です。作者:エリック・バーカーさん。
最初に結論。「実用書で書かれている有益知識全部乗せ」です。
この本が面白いのは
・これまでの成功法則のエビデンスを整理した
・多種多様な人生を変える知識を網羅している
・堅苦しくない文章表現
私がこれまで読んできた、あらゆる実用書の面白いところだけが盛り込まれています。
ラーメンなら、器からあふれるギリギリくらいまでトッピングが乗っているようなイメージ。
【こんな人におすすめ】
・少ない時間で有益知識を積み込みたい
・これまで勉強したことを復習したい
・エビデンスのある確度の高い情報を手にしたい
もし、私が人に「とりあえず本で勉強したいけど、一冊だけ選んで。」と言われたらこの本をお勧めすると思います。
残酷すぎる成功法則の軸はエビデンス
残酷すぎる成功法則は、先ほども触れたように成功の法則。と呼ばれているモノの中で、エビデンスがあるモノだけを取り上げています。
あらゆる情報をインプットする時に、最も重視しないといけないのは「誰が言ったか」ではなく「どんな裏付けがあるか」です。
成功に関する本は、個人の体験談が非常に多いのが特徴です。
・私が年収○○億円になったたった一つの理由
・僕が、ニートから○○になった成功法則
など、こういった本は、自己啓発にはなりますが、知識と得られるものはほとんど無い場合が多いです。
間違った成功法則は、隣の人の家の鍵で、自宅の鍵を開けるようなものです。
他人は上手くいくけど、あなたが成功(鍵を開ける)ことは、絶対にできません。
だからこそ、この本の軸となっている「エビデンスベース」には価値があります。
残酷すぎる成功法則。6つの法則
ここからは、残酷すぎる成功法則で紹介されている6つの章(法則)についてご紹介します。
1.成功するにはエリートコースを選ぶべきか
2.良い人は成功できない?
3.勝者は決してあきらめず、切り替えの早い人は勝てないのか
4.なぜネットワーキングはうまくいかないのか
5.「できる」と自信を持つには効果がある
6.仕事バカ?それともワークライフバランス?
これらの切り口から、成功の法則について紹介されていきます。
1.成功するにはエリートコースを選ぶべきか
まずは、典型的なエリートコースに進むべきか。という疑問への回答です。
結論は「優等生は優秀だが、超一流にはなりにくい」です。
・学生時代に優秀な成績を納めた人
・優れた研究を行った人
・超一流のアーティスト
これらの人は、尖った個性を伸ばすことに注力したからこそ、偉大な結果を残しています。
つまり、莫大な成功をしたいなら、普通を避けること。が大切。(そこまで望むかは別として)
プロスポーツ選手も内向的な人が多いようです。自分に向き合って努力するからこそ、最高のパフォーマンスが発揮できるのでしょう。
この章の最後は「成功には環境と肝に銘じる」。
誰しも、輝ける場所があるはずです。しかし多くの人が、普通に甘んじるのは、個性を活かせて無いから。
自分がいる環境を選ぶ力こそ、成功の分かれ道かもしれません。
2.良い人は成功できない?
この章の結論は、良い人は最高の結果と、最低の結果の両方を出す可能性がある。です。
この辺の考え方は「GIVE&TAKE」に通ずるものがあります。
海賊は意外とちゃんとした組織
他に、面白いと思ったのは海賊の話でした。
海賊と言えば、無法者で、リーダーは傍若無人なイメージがありませんか?
しかし、実際は海賊は非常に優れたマネジメントと平等性があったようです。
具体的には
・民主的な意志決定
・船長は解任させることができる
・船長の特権がほぼ無い
・人種差別が少ない
・報酬がほぼ平等に分配される
つまり、良いシステムや倫理があったから、海賊は成功できた。※海賊というシステムが長い間成立してきた。
とも言えます。
他にも、しっぺ返し戦略についても触れられています。
人間関係の基本戦略として非常におすすめの方法。
3.勝者は決してあきらめず、切り替えの早い人は勝てないのか
この章では大きく
・グリット
・ゲーム化によるモチベーション向上
・引き寄せの法則
がメインテーマかと思います。
グリットとは、やり抜く力のことです。困難や苦難にあっても負けない心。継続できる力です。(この有効性には諸説あり)
また、先日ご紹介した、やる気を高める4つの法則。でもご紹介したように、モチベーション向上の法則についても紹介されています。
・勝てる
・目新しい課題
・目標がある
・フィードバックがある
最後は、引き寄せの法則です。これは、多くの研究が「間違っている」ことを証明しています。
実際に「痩せた姿」を引き寄せようとした人は、「太っている姿」を想像した人以上に食事の量が増え、運動が減ります。
引き寄せようとすればするほど、夢がかなったと思って努力しなくなるからです。
もし、多少でも引き寄せの法則に効果があったとしても、願う時間で努力する方が私は好みです。
4.なぜネットワーキングはうまくいかないのか
ネットワーキングとは、人脈のことです。
「社会人は人脈が大事」
なんてことを言われた人もいるのではないでしょうか?
その人脈ですが確かに有益です。
・新しい情報を手にできる
・苦手なことに協力してもらえる
・アドバイスや指導をしてもらえる
など、ネットワーキングによって、多くの利益があります。
とはいえ「その人脈作りが難しいんだよな。」と思いますよね?
そのための方法として、残酷すぎる成功法則では
・友達づくりの三大原則
・人脈作りの5つのステップ
も紹介されているので、安心してください。
人間関係術ではこちらの本もおすすめ。
5.「できる」と自信を持つには効果がある
ある程度自信はあった方がよいです。
とはいえ、自信はけっこうトレードオフです。
・自信がある:傲慢に見られるが、自分を信じて行動できる
・自信が無い:人からの意見を素直に聞けるが、幸福感が低い
つまり、どちらを選んでも最適解とは言えません。では、どうすれば良いか?
残酷すぎる成功法則では「セルフコンパッション」を推奨しています。
セルフコンパッションとは、自分を許すことです。具体的には
・自分のミスを許せる
・自分をいたわれる
・卑下しない
セルフコンパッションは、自信の良い面だけを残し、悪い面を捨てることができる方法の一つです。
なぜなら、自分を許すことによって、足りていないところ、ダメな部分を受け入れているからです。
6.仕事バカ?それともワークライフバランス?
お気づきの人も多いと思いますが仕事の成功と幸福感の因果関係は薄いです。
なぜなら、仕事で成功しようと思うと、他の人よりも努力が必要です。つまり、リソースを仕事に振り分ける必要があります。f
結果、自分をいたわる時間や、趣味、家族との時間などを犠牲にします。
これでは、幸せにはなりにくい。
じゃあ、仕事が出来ない人はどうなの?というと、これもあまり良くないです。自己決定力(何をするか選び、判断すること)が出来ない環境は、心身の健康に悪影響です。
選ぶ人になろう
「じゃあ、どうすればいいの?」
対策としては、選ぶ人になるのがおすすめです。
世界がつながることによって、こんなデメリットがあります。
・人より優れていると思ったことが大したことないと気づく
・自分以上の結果を出している人が無数にいることに気づく
・選択肢が多すぎて、全てを選べないことを知る
そんな悲しい世界だからこそ、選ぶ人になる必要があります。
具体的には
・自分がやるべきことを自分で決める
・最大化ではなく、ちょうど良いを選ぶ
・自分のスケジュールをコントロールする
難しい取り組みではありますが、最大化を目指す人生ほど、大変な道はありません。
全てを手に入れるには、人の一生は短すぎる。そのため、自分の頭で最適を理解し、選択するのがおすすめされています。
「残酷すぎる成功法則 書評」実用書の有益知識全部乗せに驚いた「まとめ」
今回は、残酷すぎる成功法則の書評でした。
これまで、たくさんの実用書を読んでいる人には、ちょうどいい復習になります。
逆に、これまであまり本を読んでこなかった人は「確度の高い情報を幅広く」知ることができます。
小難しい表現も少ないので(作者がブロガーなのも影響しているかもしれません。)難しすぎる。と思うことも少ないとおもいます。
残酷すぎる。とは思いません。感じたのは「盛りだくさん過ぎる」。
ぜひ、一度手に取ってもらいたい本。知識が欲しい人なら、後悔しない本。