「努力して勉強しているのに説明が上手くならない。」
「なんど説明しても上手く伝わらない。」
「あいつよりも、自分の方が知っているのに。」
こんな風に思う時がありませんか?
勉強しているのに、説明が下手な人。その理由は「勉強しているから。」です。
「勉強しているんだから、説明が上手になっているはず。」
こんな風に思うかもしれません。
もちろん、説明が上手になる前提条件として、知識量は必要です。
しかし、それは「知識の呪縛の対策をしている。」という前提条件を満たしている場合のみです。
知識の呪縛とは、自分が知っていることと相手が知っていることを理解できないことです。(詳細は別途。)
今回は、そんな知識の呪縛と説明下手の関係性についてご紹介します。
知識の呪縛とは
知識の呪縛とは、自分の理解していることと、相手の理解していることを識別できなくなることです。
IT関係の情報を見ている時に私は知識の呪縛を感じます。(わかりにくいと感じます。)
例えば、こんな文章があるとします。
”このプログラムには、バグがあるのでデバッグが必要だ”
ITに詳しい人には簡単に理解できるでしょう。しかし、相手がITに詳しくない場合には理解できません。
・プログラム:コンピューターへの指示内容
・バグ:プログラムの欠陥
・デバッグ:バグを解消すること
これら3つの要素を知らない人には理解できないからです。
この相手が理解できない用語や説明を「悪気なく」してしまうのが、知識の呪縛です。
なぜ、知識の呪縛によってあなたの説明が下手になるのか
ここまでで、知識の呪縛が説明下手になる理由について、鋭い人は理解しているでしょう。
もう少し説明をすると、知識の呪縛により「相手が理解できない言語」を使って説明してしまう。というのが説明下手の理由です。
日本語しかわからない人に、中国語で説明をしても理解できません。
「そんなの当たり前でしょ。」
そう思いますよね?
ですが、それと同じことをしてしまうのが、知識の呪縛です。
相手が理解できない用語を使うことと、日本人に中国語で説明することは同じような意味を持ちます。
つまり、知識の呪縛に囚われた説明は、説明下手。というよりは説明していない。と言うのが正しい認識と言えます。
知識の呪縛による説明下手を抜け出す3つの方法
では、そんな知識の呪縛による説明下手現象から逃れる方法についてご紹介します。
今回ご紹介するのは、3つの方法です。
知識の呪縛はバイアスです。(バイアス:思考の偏り)
バイアスは完全に排除することができないので、日々心掛けるのがおすすめです。
1.知識の呪縛から完全に逃れることは出来ないことを理解する
まずは、知識の呪縛から完全に逃れることの難しさを理解しましょう。
最も簡単に知識の呪縛から逃れる難しさを感じれるのは、生活環境の遠い人と会話することです。
・外国人
・こども
・老人
・他県の人
こういった、前提条件が遠い人と会話することで、普段何気なく使っている言葉が通じない。という経験が出来ます。
親世代と会話していると、価値観の相違を感じることがあります。
これは、ある意味では知識の呪縛と言えるでしょう。
人はバイアスの塊
人はバイアスの塊です。
バイアスとは、これまで人類が生き延びていた中で生存率を上げるために必要なものでした。
・みんなが行く方向についていく
・1週間後よりも、今日を大切にする
・得ることよりも、失うことの方が辛い
これらは、バイアスの一種です。そして、これらのバイアスから完璧に逃れることは出来ません。
そのため、いつでも「バイアスに囚われていないか。」と意識していくことをおすすめします。
2.抽象⇒具体。の説明を多用する
説明において「賢そう」と思われやすい方法として、抽象⇒具体があります。
具体的には、抽象的な単語(専門用語)を伝えた後に、それをわかりやすく言い換えることが、抽象⇒具体の事例です。
文章術でも使える方法ですし、この方法なら相手の理解をサポートし、知識の呪縛の影響を受けにくくなります。
説明の中に、しつこくなりすぎない範囲で抽象⇒具体。の手法を取り入れてみましょう。
3.理解度の確認を行う
最後は、相手に理解度の確認をすることです。
あまりに初歩的な解決策のため、驚きは無いでしょう。
しかし、その初歩が出来ている人はほとんどいません。
説明の途中で
「わからないことがあるか?」
「用語の意味がわかるか?」
「理解しにくいと感じた場所があるか?」
これらの質問をしていきましょう。
そのフィードバックを活かすことで、あなたの説明はさらに磨かれます。
あなたが説明下手な理由は知識の呪縛かもしれない「まとめ」
今回は、勉強しているのに説明が上手にならない。と感じている人に向けて、知識の呪縛というバイアスをご紹介しました。
私自身、人の説明を聞いていて
「この人は努力しているんだろうけど、言葉の意味が分からないなあ。」
と感じる経験があります。
そして、それはとてももったいないことです。
学ぶということは、素晴らしいことです。
その素晴らしい努力が、正しく報われるように「知識の呪縛」について、定期的に思い出してもらえると嬉しいです。
1.知識の呪縛から完全に逃れることは出来ない
2.抽象⇒具体を意識して説明する
3.相手に理解度の確認をする
これらのことを、常に心掛けてください。
私は賢いのではない。問題に長く付き合っているだけだ。(アインシュタイン)