読書家としては、結構衝撃的なニュースがあったので、考察します。
それは、図書館の書籍を電子メールで受信できるように、著作権法改正がされる可能性がある事です。
ソースはこちら。
・どんな法改正になるのか
・図書館のあり方はどうなるのか
・出版業界はどうなるのか
・図書館利用者への影響
・どんな未来が想定できるのか
このあたりを、考察していこうと思っています。
試みとしては面白いな。と思いますが、場合によって日本からこれまでの図書館が無くなる未来になるかもしれないと思っています。
そんな、図書館の書籍閲覧方法の変更案について、考察を進めていきます。
(注)あくまで個人の意見と考察となるので、気楽にご覧ください。
- どんな法改正になるのか
- 図書館のあり方はどうなるのか
- 出版業界はどうなるのか
- 全書籍電子化の場合図書館利用者への影響
- どんな未来が想像できるのか
- NFTは書籍の電子化を支えるテクノロジーかもしれない
- 【ニュース考察】図書館の書籍が電子メールで受信できるよう著作権変更。【まとめ】
どんな法改正になるのか
まずは、法改正案について解説します。(あくまで可能性です。)
①図書館の書籍や資料を電子メールで送れるようになる
②改正の場合はスマホやパソコンで資料が閲覧できる
③感染症対策や、図書館の休業への対策が目的
④市場に流通している本(書店で販売している本)も対象
⑤逸出利益として、自治体などが補償金を払う可能性あり
⑥送信できるデータは著作権の一部
解説が必要なのは④と⑤かと思います。
④については、現在販売されている本も対象となります。これまでは図書館に行く必要があり、人気の本や発売したての本は予約が必要でした。
しかし、電子データ化されることによって、どんな本でもすぐに読めるようになります。その場合は、出版社や著者の収入に影響を与えます。(逸出利益)
⑤については、逸出利益が発生するので、その対応策が必要です。
※逸出利益:本来得られるはずだった、お金を失うこと。この例では、本が図書館で借りられることによって、本来得られるはずの利益(本の販売売り上げ)が対象。
この支払い(逸出利益)を「自治体」にしよう。というのが⑤の趣旨です。
確かに、以前こちらでも触れましたが、図書館利用にお金がかかるシステムの検討は必要だと思っています。(所得や家族構成によって、弾力性のあるシステムがベター)
とはいえ、費用が自治体負担の場合は、本を借りる人のマナーの問題が発生します。そのための対策を考えるべきと思います。(後半で私の意見を記載します。)
図書館のあり方はどうなるのか
では、そんな中図書館はどうなるのでしょか?
法改正された場合、短期的には大きな違いはありません。
・紙の本:従来通り展示と貸し出し
・本のデータ:電子メールで送信
ですが、この動きが加速して、全ての書籍が電子化した場合は、日本に図書館は一つあればいい。という状態になります。
電子データで送信。かつ、いつでも借りれるのであれば日本中に複数の図書館がある必要はありません。
その場合のメリットとデメリットはこちら。
図書館が一つになるメリット
・税金を抑えることができる
・地域差による不公平が無くなる
まずは、図書館に関する費用が劇的に下がります。電子メール化に伴い、人件費や通信費が必要になりますが、それでも費用は下がります。
具体的には、こちらです。
・図書館の建築費や維持費
・光熱費
・人件費
・書籍の購入費用
また、地域差による不公平感も減少します。当たり前ですが、地域によっては、図書館が遠かったり、蔵書数が少ないことがあります。
どこに住んでいても、等しい図書サービスが受けられることが、最大の魅力です。
図書館が一つになるデメリット
図書館が一つになった場合のデメリットはたくさんあります。(数が多いからと言って、悪い。ではないですが。)
・雇用の確保
・これまでの施設をどうするか
・憩いの場が無くなる
・電子化できない人への対策
・学習スペースをどうするか
・原本を見て本を選ぶことができなくなる
まずは、これまでの図書館に関する雇用が失われます。
また、これまでの図書館設備を放置するわけにはいきません。取り壊すにしても、費用が掛かります。何かしらの転用を考える必要があるでしょう。
そして、市民の憩いの場が減ります。
公園と同じように、図書館周辺でゆっくりとした時間を過ごす人もいます。図書館で学習する人もいるので、そういった人への影響も考えられます。
さらに、電子化に対応できない人が取り残されます。地域差による図書サービスの平等が守られる代わりに、電子データに対応できない人は取り残されます。
最後に、紙の本を読む。という選択肢が無くなります。紙の本だから良い。というわけではありませんが、選択肢が減ります。
紙の本も、電子書籍も使い分けできるのがベストです。
出版業界はどうなるのか
日本の出版業界には、様々な課題があります。
図書館は、出版側としてはありがたくないシステムかもしれません。それは逸出利益になるからです。
それが電子化されることで、これまで以上に本が売れなくなる可能性もあります。
すでに苦しい出版業界に与える影響は甚大です。(この対策はNFTが解消する可能性があります。詳細は後半で。)
全書籍電子化の場合図書館利用者への影響
図書館利用者への影響はこれまでも述べてきましたが、全書籍が電子化する場合は、費用負担の必要性が出るでしょう。
・自治体の税金負担が大きくなりすぎる
・出版社へお金が回らなくなる
最大の課題は、出版側へ、お金が回らなくなることです。短期的には、今ある本が無料で読めればありがたいです。
しかし、お金というモチベーションが無いと、今後出版される本の数は減りますし、質も下がるでしょう。
本という文化を守るためには、出版社や著者にお金が行くシステムが必要です。経済はwin-winの状態の時に、最も大きな利益がもたらされます。
その場合は、図書館利用者と政府で費用負担をする必要が出てくるでしょう。
全てを政府が出費する場合は、マナーの低下が懸念されるので、たとえ少額でも利用者が負担するのがベターだと思います。
また、図書館利用者だけが得をすると、他の納税者へ不公平になります。
どんな未来が想像できるのか
基本的に、図書館を廃止する選択肢を選ぶことは難しいので、図書館は残っていくと思います。
今後の未来として、書籍が電子メールで送れるようになった社会の変化に影響を受けます。
トライとして、一部の本を電子メールで送れるようにして、利用者や税金の負担。システムの熟成度合いや、出版業界への影響。
こういった影響を加味して、今後の展開が変わります。
とはいえ、基本的に本が電子化する流れは変わらないでしょう。
かつて、演劇や歌を「その場に行って体験するもの」でした。それが、電子化によって「自宅で見る・聞くもの」に変わりました。
このような変化は、テクノロジーの進歩と共に、当然本にも起こります。
電子書籍の未来考察については、こちらから。
NFTは書籍の電子化を支えるテクノロジーかもしれない
最後の章として、再び未来予測です。
書籍の電子化の問題解決になりそうなテクノロジーがあります。それは「NFT」です。
「NFTってなに?」
そう思うかもしれません。NFTはブロックチェーンの技術を用いた、所有権の証明書のようなものです。
・Twitter最初のツイートが3億円で落札
・デジタルアートが75億円で落札
こういった事象を起こしているテクノロジーが、NFTです。未来の可能性にあふれた技術です。
それによって
・所有権が世界中に公開できる
・電子データの動きが見える
・転売時のロイヤリティとして、作者に還元できる。
つまり、電子データそのものの所有権が証明できます。例えば、電子データの写真なら、いくらでも複製が可能です。
それを、NFTを使うことで、オリジナルの所有権を示すことができます。
また、その所有権を有するデータが、どのように人の手を渡っていくか。がわかります。
つまり、図書館で借りた本を勝手に人に送るとそれがばれます。これによって、電子データのむやみな拡散が防げます。
最後に、転売の時にロイヤリティとして、作者に一部の費用が支払われます。
例えば、1,000円の本で10%(100円)のロイヤリティを設定した場合、人から人に受け渡されるたびに、10%のロイヤリティが作者に渡ります。
紙の本では、転売時にロイヤリティで作者にお金が行くことは無いので、魅力的なシステムです。
図書館の場合は、本が借りられるほど、出版側にお金が入るシステムを作ることができます。
まだまだ、進歩の途中で、どのような使われ方をするかわからないNFTですが、電子データの所有権や作者へのインセンティブが発生するので、注目のテクノロジーです。
※今回のNFTについての参考書籍はこちらの2冊。(一押しは一冊目)
【ニュース考察】図書館の書籍が電子メールで受信できるよう著作権変更。【まとめ】
今回は、私の初の試みとして、ニュースの考察をしてみました。
まだまだ、法改正自体がどうなるかわかりませんし、今後の展開も不明です。
しかし、電子書籍が主流の時代は確実に訪れると思います。
その時、本に関する情報だけではなく
等々、幅広い知識があると変化に追従できます。詳細は、こちらの本がおすすめです。
様々な変化を「不安・怖い」と思うよりは「楽しい・ワクワクする」と思えるようなマインドセットをしたいですね。