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「いつも時間がないあなたに 書評」欠乏感は人を馬鹿にする「本レビュー」

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・一晩完全に徹夜をすること
・貧しいと感じること

 

人の処理能力を下げるのはどちらでしょうか?

 

もちろん「睡眠不足」だと思いますよね?

 

しかし、実際には「貧しいと感じること」の方が人の処理能力を下げるようです。貧しいと感じるということは、お金への欠乏感です。

 

今回は、そんな「欠乏感という、脳みその足かせの悪影響とその対策」を知れる本。"いつも時間が無いあなたに 欠乏の行動経済学"の書評です。

 

どんな人でも絶対に陥る欠乏感をマネジメントすることができる本です。

 

【こんな人におすすめ】

・いつも忙しい
・将来への心配があるが何もできない
・もっと頭が良くなりたい(IQを10ポイント以上下げる理由を知れます。)

 

【この本を読んでわかること】

・欠乏感とは、脳みその足かせである
・欠乏感は誰でも経験すること
・欠乏感を感じないための余裕の持ち方

 

欠乏感という単語になじみの無い人も多いでしょう。しかし、誰しもが感じたことのある感情です。

 

・次の車検の費用が不安
・次の打ち合わせまでの資料が出来ていない
・お腹が空いている

 

あらゆる欠乏感は、あなたを馬鹿にします。IQが13ポイント以上下がる場合があります。

欠乏にはどんな種類があるか

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欠乏感とは「何かが足りない」と感じることによって起きる不安。と思ってください。

 

欠乏の種類としては、こちらがあります。 

 

・お金
・時間
・生理的な欲求
・孤独

 

あらゆる「足りない・不足している」という感覚が欠乏感を引き起こします。

あらゆる欠乏感はあなたに悪影響を与える

「欠乏感があると、何が悪いの?」

 

最初にその疑問にお答えします。

1.頭が悪くなる 

まずは、欠乏感という感情の処理のために、脳みそが使われるので頭が悪くなります

 

具体的には「認知能力」と「実行制御力」が低下します。

 

認知能力とはIQのようなものです。大雑把に言えば、測定できる知性です。

 

実行制御力とは自制心のようなもので、「ケーキを我慢して、フルーツを食べる。」ようものです。

 

そのどちらも、欠乏感によって低下します。

 2.視野が狭くなる

欠乏感によって、視野が狭くなります。これにはメリットとデメリットがあります。

 

欠乏感があるということは、火事場の馬鹿力を発揮しているようなものです。緊急性のある問題「だけ」に対して集中できます。

 

その代わり、視野は狭くなります。

 

火事場から逃げ出す時に、服が汚れることや、汗だくになって髪型が乱れることを気にする人は居ません。逃げることだけに全集中しています。

 

つまり、対象となる目的の達成のみに集中し、視野が狭くなります。

 

ケアレスミスが減ったり、集中できるというメリットはあるものの、長期的な視点が考えることができません。

では、なぜ欠乏感という無駄な感情が存在するのか

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 つまり、欠乏感とは、緊急対応です。

 

一時的に、特定の対象の問題を解決するための力を与えてくれるのが欠乏感です。

 

・夏休み終わり前の宿題
・試験直前の勉強
・プレゼン前一時間の資料作成

 

こういった場合は、集中力が爆発するため、望み通りの結果が出やすです。

 

しかし、その先の予定や、食事、睡眠などが犠牲になるという、トレードオフが発生します。

腹ペコの人は食事のことしか考えられない

 欠乏感に対しての興味深い研究としては「飢餓」の試験があります。

 

かつて、第二次世界大戦が終わろうとしているころ、解放しようとしている捕虜や市民が飢餓状態にありました。(食事への欠乏)

 

食事を与えることは出来ましたが、いきなり大量の食事を与えると逆に体調を壊します。

 

その対策のために、志願者をつのり、実際に飢餓を体験させて、どのような食事を与えれば体調に問題が無いか。を調査しています。

 

その際に、副産物(セレンデピティ)として、わかったのが「欠乏による影響」です。

 

食事が足りていない人は

料理本やレシピ本に夢中になる
・スーパーのチラシで価格比較を徹底的にやる
・映画を見ても、食事シーンにしか目がいかない

 

などの現象が起こりました。つまり、欠乏感によって「食べ物だけ」にフォーカスするようになりました。

食事に欠乏感があると、食べ物の単語への反応率が勝手に上がる

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 また、ある実験では

・空腹の人
・満腹の人

 

を用意して、一瞬だけ表示される単語を読み取る試験を行いました。

 

スコアは空腹の人でも、満腹の人でも差はありません。

 

しかし、唯一の違いは「反応する単語」です。

 

同じスコアでも、空腹の人は「食事に関する単語」への反応性が高かったようです。

 

この例からも、欠乏(空腹感)を感じていると、脳みその反応が変わることがわかります。

 

一瞬だけ表示される単語のため、恣意性はありません。

欠乏とは、人の考え方を変えてしまうほどのインパクトがある

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 つまり、欠乏感とは、人の考え方を変えてしまうほどの影響があります。

 

それも、意識していないところで起こります。

 

つまり、あなたが今空腹の場合、全く意識していなくても「ケーキ」や「フランスパン」などの単語に反応します。

 

それだけなら問題ありません、しかし、欠乏感を感じていると「他の事への注意」が妨げられる可能性があります。

 

空腹感を感じている時は

・ローンの返済期限
・支払うべき公共料金
・送るべき結婚式の招待状

 

などへの意識が薄れます。

 

欠乏感とは、一番大切なモノに集中する力です。他のすべきことがおざなりになります。

貧困を感じると、徹夜以上に馬鹿になる

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 これまで、欠乏の対象として空腹感をテーマにしてきましたが、貧困も同じ、もしくはそれ以上の影響があります。

 

貧困を感じていると、徹夜をする以上に脳みその機能が低下します。このあと、具体例をご紹介します。

IQが13ポイント以上下がる、車の修理費

まず、ショッピングモールでこんな質問をされます。

 

あなたの車が壊れて修理が必要です。
・修理費は3,000ドル(30万円以上)
・保険会社が半分負担してくれる
質問は、「直すor様子見をする」

 

この時、一般的な収入の人は「お金が無いぞ」という欠乏感が生まれています。いきなり車の修理費で15万円以上かかったら、びっくりしますよね?

 

その結果、IQが13ポイント~14ポイントほど下がるほどの影響を受けています。(もちろん、短期的な影響です。)

 

とはいえ、いつでも「お金が無い」と思っていると、あなたの脳みそは力を発揮できません。

 

お金が無いと感じる。ということは、頭が悪くなるのと同じです。

欠乏感への対策はスラック

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・視野が狭くなる
・頭が悪くなる

 

そんなリスクのある欠乏感への対策としては、スラックがおすすめです。

 

スラックとは「保険」のようなものです。具体的には

 

・今月の予定支出以外のお金
・今日の予定と予定の隙間時間

デートにおけるスラック

例えば、デートをするなら、こんな予定ではスラック不足です。

・10時:家にお迎え
・10時半:公園を散歩する(3Km)
・11時:スタバでコーヒーを飲む
・12時:おしゃれなイタリアンでランチ
・13時:美術館に行く
・14時半:買い物をする

こんなプランだと、足が痛くなったり、レストランが行列だったりすると計画通りに行かず、焦ります。

 

もちろん、デートの失敗率が上がります。

 

この対策として「何も計画しない時間」を用意します。これがスラックです。

スラック不足は、NASA火星探索機の研究成果をパーにした

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 「スラックって、そんなに大切なの?」

 

そう思うかもしれませんが、本当に大切です。

 

1999年9月23日。NASAの火星探索機が、火星の軌道手順のプログラムを実行した際、探査機が墜落しました。

 

その理由はなんだと思いますか?

 

・機械の故障
・軌道計算ミス
・コンピューターのトラブル

 

いろいろ想定できると思いますが、正解は「メートル法ヤード・ポンド法の変換ミス」です。

 

全ての設計や操作に問題はありませんでした。しかし、前提となる「単位」を変換ミスしていました。

 

その理由はもちろん、スラック不足です。厳しい納期の中、無数に出て来るトラブルの解決をしていく中で、単位の変換に気を遣う時間がありませんでした。

 

もし、気付いていたとしても「それより大切なトラブルがある」と考えて誰も行動できませんでした。

 

自分の仕事が鬼のように忙しい時、パソコンがたまにフリーズしたり、マウスの動きが悪いことは後回しになりますよね?

 

それと同じことが、NASAでも起きました。スラックがあれば防げた可能性は高いです。

 

NASAの職員でもなるなら、自分もなるよな。と私は思いました。

リマインダーは欠乏感の悪影響を抑えてくれる

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 欠乏感によるミスの対策としては、スラック以外にも「リマインダー」があります。

 

例えば、あなたの生活でもこんなことはありませんか?

 

「買い物の途中で出会った友人と話し込んで、スケジュールが崩れた」
「打ち合わせが長引いて、次の打ち合わせの用意が出来なかった」

 

これは、リマインダーが無いから起こります。

 

リマインダーが発動すれば、買い物の途中で会話を切り上げるきっかけになったり、打ち合わせを切り上げることが出来ます。

 

仕事において、秘書がいる人は、秘書にリマインドをしてもらう場合があるようですが、私たちには難しいでしょう。

 

その場合は、パソコンやスマホ、スマートウォッチにリマインダーを設定することをおすすめします。

 

スマートウォッチが振動することで

「あっ、このあと用事あるから、また話そう。」
「次の打ち合わせが入っているので、ここで失礼します。」

 

といった、欠乏感を生むような時間不足を防ぐことができます。

 

リマインダーは「予定を忘れないため」ではなく「予定を計画通り進めるため」に使うのがおすすめです。

余裕とは、2つ目のマイバックのようなモノ

 何事においても、余裕が必要です。

 

余裕とは、2つ目のマイバックのようなものです。

 

もし、あなたが買い物にいって、予定外のセール品を見かけた時、今ではマイバックとの相談になることもあります。

 

その時、無理やり持っているマイバックに詰めようとすると、難しく、時間も脳みそも消耗します。

 

しかし、2つ目のマイバックを持っていれば、何も考えずに買い物ができます。

 

・時間
・お金

これも全く同じことが言えます。時間やお金の欠乏感に対しては「スラック」が最も優秀な対応策です。

「いつも時間がないあなたに 書評」欠乏感は人を馬鹿にする「まとめ」

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今回は、いつも時間がないあなたに 欠乏の行動経済学。の書評でした。

 

家事の時間はテクノロジーの進化と共に減っているようです。(洗濯機や冷蔵庫のおかげ)

 

しかし、私たちはこれまで以上に忙しく感じているのではないでしょうか?

 

その理由の一つして「無駄な時間を減らす」という考え方があると思います。

 

私も、効率的である事が大好きなので、ついついスラックの無い生活をしてしまいます。

 

「洗濯機を回している間に、野菜を茹でで、待っている間にブログを書く」

 

これが、先ほど私のしていたことです。

 

これでは、スラックが無く、一つのトラブルで計画倒れになります。

 

効率性の追求と共に「あえて」スラックを用意する。それこそが、私たち持っている時間や能力を最大限発揮するための方法です。

 

いつも時間がないあなたに、この本をおすすめします。