今回は、"100円のコーラを1000円で売る方法"の書評です。作者:永井孝尚さん。
最初に結論。「奇抜な本の皮を被った、優秀なマーケティング入門書」です。
100円のコーラを1000円で売る方法は、長く売れているベストセラー本ですが、正直「奇抜なだけの本」と思い込んでいました。
実際に読んでみて、マーケティングの基礎をしっかり理解できる良書である。ということを認識できたので書評ブログを書きます。
マーケティングというと、なんとなく「自分には関係ない」と思ってしまうことがあります。
しかし、実際、全ての商売は「作って売ること」によって、成り立っています。
・サービス業:サービスや体験を販売
・サブスク:仕組みを販売
つまり、全ての仕事をしている人は、マーケティングに関係している。とも言えます。
あらゆる商売の基礎の基礎である、マーケティング。基本を知っていれば、ビジネスの見え方が変わります。
基本的には「弱者の戦略」となっています。つまり、トップシェアで無い企業向けです。(そもそも、弱者だからこそ、戦略が必要)
- 100円のコーラを1000円で売る方法はこんな人におすすめ
- 100円のコーラを1000円で売る方法の良いところ
- 100円のコーラを1000円で売る方法 書評
- 特に、面白いと思った知識を3つ
- 100円のコーラを1000円で売る方法 書評「まとめ」
100円のコーラを1000円で売る方法はこんな人におすすめ
まずは、この本を読むと利益のある人をご紹介します。
・仕事をしている。就業したい
・ビジネスの仕組みを知りたい
・マーケティング知識が少ない
オーソドックスな基礎を知ることができる本です。かつ、非常に読みやすいです。
しかし、当然ながら基礎なので、マーケティングに詳しい人が読んでも、新しく学ぶことはありません。(良い復習にはなります。)
100円のコーラを1000円で売る方法の良いところ
では、この本の良いところはどこでしょうか。
特に良い点は3つあります。
1.10のエピソードで、10個のマーケティング知識がつく
2.ストーリー仕立てなので、読みやすい
3.マーケティングの本当の基本がわかる
100円のコーラを1000円で売る方法は、10個のエピソードで展開されています。つまり、10個のマーケティングの基礎知識が身に付きます。
小説調になっているので、読みやすく、理解しやすく、覚えやすいです。※物語は、記憶の定着に良い傾向があるので。
他にも、具体的な事例に基づいて話が展開されていたり、興味をそそるような物語になっている点も魅力です。
「読みやすい小説を読んだら、マーケティングに詳しくなっている。」
そんな本。
100円のコーラを1000円で売る方法 書評
では、ここからは、具体的に書評をしていきます。
・100円のコーラを1000円で売る方法の概要
・特に、面白いと思った知識を3つ
上記のお品書きになっています。
100円のコーラを1000円で売る方法の概要
まずは、概要です。100円のコーラを1000円で売る方法の目次はこちらです。()内は、私が勝手につけた、サブタイトルです。
内容の参考にしてください。
・アメリカの鉄道会社が衰退した理由(市場への理解)
・お客さんの言いなりは売れない(顧客への提案こそ価値)☆
・顧客の要望に100%応えても0点(期待どおりはつまらない)
・値引きの作法(値引きのあるお店は買い時をためらう)
・キシリトールガムがヒットした理由(治療より予防の方が市場が大きい)
・スキンケア商品を売り込まないエステ(売らないという売り込み)
・商品を自社で売る必要は無い(win-win)
・100円のコーラーを1000円で売る方方法(付加価値を高める方法)
・なぜ、省エネルックは失敗し、クールビズは成功したのか(誰に、どうやって売るか)☆
・新商品は必ず売れない(新しいモノ好きは20%未満)☆
今回は、後ろに「☆」がついている3つを取り上げます。
特に、面白いと思った知識を3つ
ここからは、10個のマーケティング知識に対して、特に面白いと私が思ったところを3つ取り上げます。
お客さんの言いなりは売れない(顧客への提案こそ価値)
顧客満足度とは、何でしょうか?
・お客さんが要求することに応える
・全ての欠点を無くす
こんな風に、考えてしまいます。しかし、それは間違いです。
その理由は3つあります。
・全ての要望を満足すると無駄が生まれる
・お客さんが間違えている可能性がある
・顧客の満足度は、期待値を満たしも上がらない
全ての要望を満足すると無駄が生まれる
10万人のお客さん全てが満足(要望を満たす)ような、モノを作ると確実に無駄が生まれます。
例えば、車だとこんな要望があるでしょう。
・静かな車が欲しい
・メッキが多い車が欲しい
・スピーカーとウーファーが欲しい
・四駆が欲しい
・フルフラットのシートが欲しい
たくさんの要望があります。しかし、これを全て満たした製品は「価格が上がりすぎる」というデメリットがあります。
何でもかんでも詰め込んだ商品は、欠点を無くそうとして「無駄」という欠点を生んでいます。
他にも
・機能が多くて使いにくい
・使ったことの無い機能がたくさんある
・慣れるまでに時間がかかる
などの欠点があります。昔のガラケーも後半は、こんな感じでしたね。
お客さんが間違えている可能性がある
他にも、お客さんが間違えている可能性があります。
そもそも、その商品に対して最も詳しいプロは「販売者」です。
たとえ、お客が望んでいても、要らないものは要りません。
要求を全て飲むのは、思考停止です。必要なことを、必要な分だけ。それが販売の基本。
顧客の満足度は、期待値を満たしても上がらない
顧客満足度には計算式があります。
顧客満足度=商品の利益÷商品の期待値
お客の期待を100%満たす商品は、顧客満足度0です。(100÷100)
つまり、お客さんを喜ばせたいなら、期待を超える価値が絶対に必要です。
なぜ、省エネルックは失敗し、クールビズは成功したのか(誰に、どうやって売るか)
暑い夏、クールビズが流行ってくれて感謝をしている人は多いのではないでしょうか?
正直、今の時期に上下スーツでネクタイをまくのは無理です。
そんな、クールビズのはしりは「省エネルック」でした。ですが、省エネルックは流行らず、クールビズは流行った。
この違いは、マーケティングの違いです。
なぜ、省エネルックは流行らなかったのか
省エネルックとは、1979年ごろに進められていたプロジェクトです。
内容は、クールビズと同じで「暑い夏。軽装で過ごそう」というのがコンセプトです。
しかし、省エネルックは失敗しました。
それは、ターゲットの気持ちを考えずに「とにかく、涼しい格好をしよう」というのを推し進めたからです。
その結果
・国に押し付けられている気がする
・格好悪い
などの感情が起こり、成功しませんでした。
なぜ、クールビズは国民に受け入れられたのか
一方、ご存じの通り、クールビズはもはや「常識」です。
真夏に上下スーツを着て、ネクタイを締めている人はほとんどいません。
むしろ、街中でそういう人を見ると「何かの謝罪で出張しているのかな」と思ってしまいます。
それは、環境省が80億円をかけて
・クールビズのファッションショー
・各種広告
などを実施したことが理由と考えられます。
結果「クールビズは快適で、かっこいい(カッコ悪くない)」というイメージ戦略に成功しています。
つまり、同じような施策でも、マーケティングの観点の有無で結果は変わります。
当たり前のように思えますが、これは凄いことです。商品(夏の軽装)は変わっていないのに、人の感情が変化しているからです。
これが、マーケティングの持つ魅力です。
新商品は必ず売れない(新しいモノ好きは20%未満)☆
新しい商品を買う人は、どんな人でしょうか?
それは、もちろん「新しいモノ好き」です。
・新商品だから買ってみよう
・新しいサービスがあるから使ってみよう
こういったタイプの人は、真っ先に
・ウーバーイーツ
・iPhone 3G
・エアビーアンドビー
などのサービスを使っている人です。では、こういった新しいもの好きはどのくらいいるでしょうか?
答えは16%です。
具体的には、このように言われています。(新しいモノへの反応性順です)
・イノベーター:2.5%
・アーリーアダプター:13.5%
・アーリーマジョリティ:34%
・レイトマジョリティ:34%
・ラガード:16%
この情報を踏まえると、新しい商品を売る時には2つの戦略が必要です。
・新しいモノへのアピール
・大衆へのアピール
両者に対して同じ戦略で進めると、新しいモノ好きだけに利用されるだけになります。市場の16%しか相手にしないので、拡大性に乏しい。
※個人的には、アーリーアダプターが理想的だと思っています。この辺はいつか、ブログにします。
100円のコーラを1000円で売る方法 書評「まとめ」
今回は、100円のコーラを1000円で売る方法のまとめです。
マーケティングに関する本は、一つのテーマを掘り下げる本や、網羅性がありすぎる本に出会うことが多いです。
しかし、この本では、一冊でちょうど理解できる最大量の知識。が書かれています。
私たちは、普段から多くのモノやサービスを消費して生活しています。
しかし、そのビジネスモデルについては、理解していないものが多いです。
・なぜ、スカイプは無料通話で成り立つのか
・なぜ、ツイッターは無料で世界とつながれるのか
・どうやって、ネットフリックスは収益を確保しているのか
・kindleが、ここまで世界に浸透したのはなぜか
そういった疑問は、マーケティングを知ることで理解できるようになります。
ちなみに続編も出ています。
・100円のコーラを1000円で売る方法②
・100円のコーラを1000円で売る方法③
②は、一定の需要を得ることができた新商品が、その後も売り続けるための方法。
③は、日本独自のガラパゴス化への対策と、グローバル企業が持つ強みについて。