「年収が上がっても幸福度は大きく変動しない。」
あらゆるメディアで言われていることですし、実際に統計的に正しい情報です。(最近では、もう少し高めの方が良い。というデータもあります。)
もし年収800万円で幸福度が頭打ちだと仮定した場合、年収800万円と年収5,000万円で幸福度が変わらない。というのは不思議な気がしませんか?
本当に、目指すべきは年収800万円で、それ以上のお金は要らないのでしょうか?
共働きをしている世帯では、年収800万円を超える確率は高い。ですが、そんな世帯が「もう、お金は要らない。幸福だから」
そう思っているとは、正直思えません。
今回は、そんな年収800万円で幸福度が頭打ちになる。が間違っていると感じている根拠についてご紹介します。
※年収800万円以降は幸福度が変わらない。だから、800万円以上稼ぐ必要は無い。という論法への反論です。
収入以外にも、幸福度を左右する要素がたくさんあるので、その辺もご紹介します。
当たり前ですが、年収は幸福を決めるたくさんの要素の中の一つでしかありません。
参考書籍はこちらの2冊
- 年収800万円以上は幸福度が変わらない。の根拠
- そもそも幸福度の定義はあいまい
- 年収以外の幸福度を上げる要素はどうなっているか
- 寄付をすると年収2倍と同じくらいの幸福度
- 比較して幸福になることは出来ない
- 年収800万円を生涯維持することは難しい
- 言いたいこと。
- 自分の幸せがわからない?でも大丈夫!
年収800万円以上は幸福度が変わらない。の根拠
まずは、前提条件となる、年収と幸福度の関係性についての根拠です。
行動経済学と言えば「ダニエル・カーネマン」さんですが、そのカーネマン教授が行った実験の結果が最も有名でしょう。
※ファスト&スローの著者でもあります。
この研究で、日本円にして年収約800万円以降は、ほとんど幸福度が向上しない。ということがわかりました。(微増はしています。)
また、カナダのブリティッシュコロンビア大学の研究でも、年収が2倍になっても、幸福度が9%しか向上しない。という研究もあります。
つまり、年収と幸福度の関係性は800万円くらいまでは、ある程度右肩上がりだが、それ以降はほぼ変わりません。
そもそも幸福度の定義はあいまい
まず最初に気になるのが、幸福度の定義です。
もちろん「あなたは幸福だと思いますが、5段階で回答してください」以外の質問もしているとは思います。
しかし、あくまで幸福度は主観的なモノです。流動的でもあります。
1日の間でも
・出勤前
・昼食時間
・仕事終わり
・寝る前
など、あらゆる場面で幸福度は異なります。時間や日付をまたいだ調査だとしても、明確に幸福度を判定することは出来ません。
「恋人と別れた日、あなたは幸福ですか?」
さらに言えば、人によっては1-5の評価基準で、ほとんどを「4」か「3」にする人もいます。※なんとなく中間を狙う思考。
こういった要素があるので、幸福度の調査とは、どうしても前提が曖昧になりがちです。
人の感情を定量的に計測することは難しい。
年収以外の幸福度を上げる要素はどうなっているか
ここからは、年収以外の幸福度を上げる要素を6つご紹介します。
・環境
・人間関係
・健康
・お金へのマインドセット
・自己肯定感
・経験
正直、お金があれば、これらもコントロールしやすいのではないか。と私は思ってしまいます。
1.環境
環境の影響は馬鹿にできないです。住んでいる国や県単位では無く、もっと小さな環境変化で、ストレス度は変わります。
・うるさい環境
・近くに公園がある
・近くに図書館がある
・近くに小川がある
・窓から景色が見える
などの小さな変化でストレス度は異なります。部屋にフェイクグリーンがあるだけでも、変化するくらい、人は繊細です。
海外の大手企業は、なるべく多くの従業員が、窓から外を見えるように設計しているくらいです。(離職率にも影響)
どんな環境で生活するか。で幸福度は変わります。
2.人間関係
・孤独は煙草を吸うのと同じくらい、健康に良くない
・最も幸福なグループは良い人間関係を作れている
こういったデータからもわかるように、人間関係は幸福度に大きく影響を与えます。
今でこそ、孤独でも生きていくことは出来ます。資産がたくさんあれば、完全に孤独でも、生活できるインフラがありますよね。
しかし、もともと人は孤独=生存の危機。という環境で育ちました。
つまり、孤独を嫌う人(性質を持つ遺伝子)を持つ人だけが、今でも子孫を残しています。
つまり、孤独で幸せな人はほとんど存在しません。
3.健康
健康面が幸福度に影響を与えるのは当然でしょう。
特に、健康への不安がある時に、幸福度を下げます。もちろん、健康で頭がスッキリしていれば、幸せを感じることは出来ます。
4.お金へのマインドセット
年収が大切なのはわかりますが、お金に対しての考え方も重要です。もちろん、リテラシーも。
・貯蓄をするか(将来への不安に対処しているか)
・自分のためになる消費をしているか
・お金を持つことに、どんな感情を抱くか
年収が高くても、ギャンブルや浪費クセがあれば、生活水準は低いままです。
年収800万円というのは「収入が多い」では無く「暮らしが豊か」という指標です。
お金への考え方や消費活動は、年収と同じくらいの影響があるように思えます。
5.自己肯定感
個人的に、幸福度に対して最も重要なのは、自己肯定感です。
自己肯定感とは、自分を肯定することができる考え方です。
わかりやすくいえば、満足できるハードルの高さ。です。
・1,000万円の外車
・400万円の国産SUV
・50万円の中古の軽自動車
あなたが満足(いい気分)で過ごせるのは、どの車ですか?
人によっては、1,000万円くらいの車じゃ、満足できないよ。という人もいます。その人は、幸福を受けるために必要な刺激の量が多いです。(自己肯定が出来ない)
ですが、大学生の時、働き始めてすぐの時、50万円の中古の軽自動車を手にしたらどんな気分になるでしょうか?
きっと、嬉しいはずです。私が、幸福にも大学生の時に50万円の中古の軽自動車を買ってもらい、非常にうれしかったことを覚えています。
つまり、満足するハードルは低い方が良いです。
「今日はファミレスでランチ。うれしいな」
「久しぶりにスタバのコーヒー。美味しい」
「家族で、日帰り温泉。気持ちいいな」
このように考えられれば、幸福になれます。
・高級食材
・専属のコンシェルジュ
・離島の高級リゾート
こういった経験なんて無くても、人は幸せになれます。
6.経験(旅行)
経験も幸福度を上げる要素です。その中でも、こちらの4つの要素に関連する経験が、特に効果的と言われています。
・人とのつながりを感じる
・繰り返し語れる思い出になる
・自分の理想像に近づける
・レアケースへの遭遇
ちなみに、日程の長さは幸福度や満足度との関係性が低いので「日帰り旅行」でも、充分です。
年収800万円以上でも、年間300日10時間労働をしているのでは、仕事以外の経験が圧倒的に不足します。
※富裕層は、仕事が好き(好きなことが仕事)の場合もあります。その場合は労働時間が長くても、幸福感への悪影響は少ない場合があります。
寄付をすると年収2倍と同じくらいの幸福度
寄付をすると、年収が2倍になったのと同じくらいの幸福度向上が期待できるようです。
2006年~2008年の研究のため、少し古い研究ですが、世界136国の20万以上を対象とした調査です。
結果は、前の月に寄付をした人は、寄付をしていない人よりも、幸福度が高い傾向が確認できました。
※寄付をしている人が、そもそも幸福度が高い(精神的に余裕がある)という可能性も否定できません。
ただし、お金を人に渡すことで
・自分は人に寄付できるくらい余裕がある
・自分は優しい人だ
・自分はケチな人で無い
そう考えることができるため、幸福度が上がる。ということは間違いないと思います。
アメリカのお金持ちが、ガンガン慈善活動をしているのは、幸福度が劇的に向上していることを、実感しているから。かもしれませんね。
ちなみに、ボランティアも幸福度に対して効果的なので、おすすめです。ちょっとした、親切をたくさんする日を作ってみましょう。
比較して幸福になることは出来ない
人々が小さなコミュニティで生活している時は、人との比較で幸せになることができました。
・自分が一番動物を見つけるのがうまい
・自分が一番、石を割るのがうまい
ですが、世界中がつながってしまう現代では、比較の幸せを掴むのは難しいです。正しくは不可能です。
・スポーツ
・アート
・文才
・仕事
・トーク力
・収入
どれをとっても、世界には、自分以上の人が居ることがわかります。しかも、無数に存在します。
クラスの人気者は、芸人さんと比べれば話べたです。
だからこそ、人と比較するのではなく、自分を認める強さが重要です。つまり、自分を認める力が大切です。
年収800万円を生涯維持することは難しい
年収800万円以降の幸福度が変わらない。だから、800万円を目指そう。
年収と幸福度の関係を考えれば、これ以上のアドバイスはありません。
しかし、これまで述べてきたように、年収が高くなれば幸せ。というわけではありません。
他にも、幸福度を決める要素はあります。
さらに、年収800万円の場合、100万円収入が減ったらそのまま幸福度への影響があります。
年収が2,000万円あれば、100万円収入が減ってもほぼノーダメージです。
大切なのは「生涯800万円を稼ぐ力」です。仕事の引退前の一年間だけ年収が800万円になっても、収入による幸福感の上限は1年だけです。
つまり
・年収800万円を目指す
・年収800万円を維持する
この2つを行っていくのが、正しいアプローチかと思います。
言いたいこと。
今回言いたいことは、統計データへの文句ではありません。
幸福度を決める要素は、年収だけではない。ということです。また、安易に800万円をゴールに設定するのは、リスキーです。
目指すべきは、年収を上げることによって、幸福度を上げる様々な要素へ投資が出来たり、時間的な余裕を確保すること。
また、当然ですが年収が800万円に届かなくても、幸福感を感じることは出来ます。
年収800万円以降は、幸福度がほぼ変わらない。
事実ですが、あくまで幸福の要素の一部です。
自分の幸せがわからない?でも大丈夫!
ここまでご覧いただき、幸福には非常に多くの要素がある事がわかったと思います。
でも、同時に「どうしたら幸せになれるかよくわからない」と思ったかもしれません。
でも、大丈夫です。
自分が想像する不幸を反転させてください。それが、あなたの幸せです。
・貧しい生活をしたくない⇒ほどほどの収入を目指す
・孤独に生活したくない⇒家族関係を良くする・友人を大切にする
・忙しすぎるのは嫌だ⇒時間をつくる。自分の時間を確保する
人は生まれつき、不幸や苦しいことにフォーカスするようにプログラミングされています。
だからこそ、自分の幸せが何かがわからなくなります。
であれば、それを活かして、不幸の反対を目指してみてはいかがでしょうか?
それが、年収でも、高級な車でも、週3日のゴルフでも構いません。
幸福や生活にモデルケースはありません。幸福とは、自分の望みをオーダーメイドすることだから。
本でいえば、こちらの2冊がおすすめです。